叔母の遺産(Die Erbtante)

”「叔母の遺産(Die Erbtante)」”

お金持ちの叔母さん(独身)にプレゼントをあげまくって、溜めこんだ財産を装飾品から家財道具まで根こそぎいただこうという身も蓋もない内容の競りゲー。っていうか世知辛すぎて泣けてきますねえ。でもわりかしオモシロ。
まず最初に。
タイトルは似てますが、有名な「遺産相続ゲーム」とは何の関係もないことに注意。あれはメジャーボドゲで、こっちはマイナーカドゲ。あれは先祖から云々でしたが、こっちはリアルに生きている親族が相手。なんていうか、遺産に対するその即物的な姿勢に愕然とするのがこっち。キャラクターのイラストはわりかしコミカルですが、客観的にゲーム内状況を想像するとかなりのドロドロぶりに気付くはずです。妙にリアルな生活感が漂ってくるというか。もうね、スゴイわけですよ。


で。ゲームの中身。


これが小箱ながら、ナカナカにヒネリの効いたゲームシステムだったりするから、侮れないものですアバクス(語尾)。
例。
ゲーム終了までに「叔母さんが結婚できるか否か」で獲得できる遺産(得点)の限界が変化するというマルチな(といっても2通り)システムを採用してたり。ほら、ちょっとスゴそうでしょ? 
で、基本的には結婚推進派と反対派にわかれて足を引っ張り合う流れになるわけですよ。
というのも。
結婚すると、叔母さんは嬉しさのあまり大盤振る舞いに(得点上限なし)。
逆に結婚できないと、独り身には財産がとても大切なものになるのでケチに(上限あり)。
あげく、この上限を少しでも越えてしまうと、資産管理にはウッカリ気味な叔母さんも「うわ!財産をあげすぎてる!」ってことに気付きます。結果、そのプレイヤーに与えた全てを没収してしまうんですなあ。いやはや恐ろしい話。
だもんで、叔母さんの恋愛状況を見守りながら、いただく遺産を調整、時には遺産を集めるゲームから押し付けあうゲームになったりと、なにかと奥の深い展開だったり。
え、競りなのに押し付けあうってどういうこと?って感じですが、ちゃんと「カードマネジメントを利用した懐の痛まない押し付け合いルール」を完備。そんなところでも作者の抜け目なさを思い知るわけですよ。
持ち回りで叔母さん役(オークショナー)を担当したり、「叔母さん結婚への道」チェックはイカサマめいたスロットライクだったりと、とにかく独特の雰囲気には事欠かないこのゲーム。それほど多くもないルールでこれだけリアルな「遺産をめぐるドタバタ」を再現していることに驚かされます。
システム上、最大人数の5人でないとその変ゲーぶりは堪能しにくいですが、そこはなんとか人を集めていただく方向で。妙にオモシロですから。いや本当。
余談ですが。
基本的に叔母さんは結婚しにくいバランス取りがされているので、結婚するかしないかギリギリのせめぎあいを楽しみたいんだ! っていうか叔母さんのウェディング姿が見たい!という方は、叔母さんの「出会いカード」を2〜3枚抜くと丁度いい具合です。