”「トップバナナ(Top Banana)」”

猿山の頂点に君臨するのは俺様だ!という内容のサルゲー。でも実は猛烈アブストラクト。
デーンとボード中央には猿山。螺旋を描きながら上っていける構造。サルボスになるべく、地べたから始まって我先にと駆け上がっていく感じ。
カードは各自1−5を1枚ずつ使い切り。手番になったら使って、その歩数進むと。その時、既にサルがいるマスは飛ばして進むので、交互に動くうちにあっというまに頂上到着。
が。
サルボスが決定するのは全員がカードを使いきった後(暴れて疲れきった後)。「途中で何度頂上に立ってようが関係ない」というのがキモ。だもんで、他人の動向を見ながら、上手く自分の立ち位置を調整すると。時には猿山を猛然と駆け下りていく判断も必要なんですなあ。
あと、「前手番のプレイヤーとは同じカードが出せない」とかの縛りを活かすことで後手番の行動を制限したり。
サルボスと2番手(人数によって異なる)にもバナナが与えられて、ラウンド何度か繰り返す系の作り。なにせラウンドとか即終わりますからね。
で、ちょっと変わってるのが、ラウンド終了の状態そのままで、次ラウンドをはじめるという点。展開が一様にならない為の変化を出す一工夫なんですが、わりかし効果的です。お、ボスが山を駆け下りていくぞー」とか「今のうちに・・・シメシメ」「そうはさせるかー」みたいな光景も目に浮かんでいい感じ。


とまあ、ルールを聞くだにカッツカツのアブストラクトなんですけどね。私はそれをテキトーに遊ぶのが好きです。その持って生まれたランダム性で、先の先を読むアブストラクターどもをアワアワ言わせてやるわけですよ。ムハハハ。
ま、内容が内容なのでキツキツに遊んであげるのもなんですしね。そりゃね。
とはいえ、見た目とは裏腹にしっかりと遊べるだけのポテンシャルを持ち合わせています。シンプルルールで多人数アブストラクトの醍醐味を堪能できますし。ゆらぎとかね。
でも残念なことに四人専用。いや、もちろん二人から遊べるんですが、人数が少ないと「ゆらがない」ので読みきれてしまうんですね。こんな私でも。


話変わって。
目を惹くのはやはりそのコンポーネント。サルがバナナを「イエーイ」とばかりに気だるく掲げる自駒(立体)といい、実際に駆け上る岩山ボード(立体)といい。
直線のマス目と、平面の駒でも成立するゲームだけに、雰囲気重要。螺旋型岩山ボードのおかげで、距離感の把握を視覚的に漠然とさせることに成功していますしね。
また、そんな岩山以外にも広々とボードを展開するゲームなんですが、それがただのカード置き場でしかないというガックリぶりもイイです。「なんだよおいー」って、これ遊んだ人は絶対ツッコミ入れますからね。っていうか、罠ですからそれ。
派手なのか地味なのかよくわからないゲームですがオモシロ。
ボードをカッツカッツいわせながら、サルたちがだらしなく山登る光景がイケてます。