マーゴマギーノ(Mago Magino)

マーゴマギーノ(Mago Magino)

子供向けメーカーのセレクタ社製。クニツィア作。本当に多作ですね、この人。
にしてもこれ、どう表記するんでしょうか、マーゴマギーノ? マーゴマギノ? 謎。でもわりに遊べてオモシロ。
ダイスを振ってウロウロする「おつかい」系。奪われたクリスタルを悪い魔女の根城から取り返し、良い魔法使いの城に持ち帰ることが目的。もちろん主役は子供です。ファンタジー
しかし、さすが悪の魔女。むざむざ取られるがままというわけでもなく、道中の子供たちを魔法でカエルにしてきたりします。ウザイヤツです。
宝石までのルートは二つ。危険な森抜けか、安全な平原抜け。手番には特殊ダイス振って、移動。自分の子供駒は2個あるんで2択。正確には特殊駒「良い魔法使い」も動かせるので3択ですか。
ダイス目の中にはボード中央の「悪の魔女」が活性化する目があります。出ると、魔女がひとしきりグルングルン廻ったあとに指差した子供をカエルにしてきます。ゲロリ。
カエルにされると、運んでいたクリスタルを落とすやら、移動が極端に遅くなるやら、なにかにつけてゲンナリするので、魔女が動きだすともうドキドキですよ。場が祈りに満ち、わけのわからない声が飛び交います。
カエル状態は一旦城に舞い戻るか、テクテク歩いてきた良い魔法使いに治してもらうと「ドロン」ってな感じで子供にもどります。ちなみに魔法使いと一緒の駒にいると、魔女に指差されてもカエルにされません。いや、もしかすると「カエル化→即座に治る」が高速に行われているのかも。・・・・夢ないですね。
ま、だいたいそんな感じ。
とりたてて変わったところはなさそうなんですが、遊ぶと「なるほど」がドドーンと押し寄せてきますねえ。とてもスマートなゲームですよ。
例えば。「誰の子供」でも魔法使いで治すともう一手番あることとか。他人に意地悪するより、治してあげてでも「ダイスをもう一回振れる」というのは長期的視点に立てばかなりオトクなことなので、自然に協力型なプレイになってたり。共に「感謝の関係」になるので、仲良しさん推進ですねえ。カエルになると2度と復帰できないのではと危惧していたので、特に印象深かった点。魔女は魔女でちょくちょくグルってるんですが、そんな具合なので、それほどカエルが溢れかえるということがありません。
カエルにされて落としたクリスタルを他人が拾えるってのもイイですね。中盤過ぎると道中にはクリスタルが転がっている状況になるので、魔女の城まで行く必要がなくなるという。言ってしまえば数人の子供でクリスタルのリレーをしているようなものですから、終盤に向かうほどにゴール近辺にクリスタルが溜まってテンポアップするようになってます。ちょっとしたことですが、スゲーです。
他にも「森抜け」と「平原抜け」のリスク配分の妙とか、特殊ダイスの目の分布とボードの地理的な関係だの、コンポーネント自体の細やかな気配り&仕掛けだの、なんだかんだと良くできてます。で、遊ぶとちゃんとした戦略的なダイスゲーになってるわけですよ。だから大人でも十分に楽しめますし、子供相手にこれだけの内容を盛り込んで、それでいて至極単純に遊びやすく仕上げた作者の力量たるや、という話。
感銘を受けました。イカス。