ファラオの財宝(Der Schatz des Pharaos)

”「ファラオの財宝(Der Schatz des Pharaos)」”

1996、クラマー作ながら発売元がBerliner Spielkartenだというマイナーぶり発揮のカドゲ。いや、私は大好きなメーカーなんですが。名作もいくつか輩出してますし。しかし本作はその中でもかなりマイナーな部類。巷ではだめだ、くだらないという評判らしいんですが、個人的にはあっさりとした感じでわりにオモシロとか言ってみたり。


面クリア型の冒険ゲー。最終目的地となるのは奥深くの財宝。途中にある様々な困難を勇気と多彩な装備で乗り越えていくという。以後の説明は画像見ながらのほうが判り良いです。
最初に「場」として困難カード6枚並べて、最期に財宝を。端からスタートして、一枚一枚クリアしながら前進、財宝でゴール。
それぞれクリアするためには、そこに描かれた数字分だけ、装備カードを公開することが基本。6とか10とか難易度は色々。ちなみに最後の財宝は12。装備カードは最大で5くらいまでの数字が書かれてます。公開して、合計が難易度を超えたらクリア。雄叫びを上げながら先に進めるといった寸法。ちょうどの数でクリアすると特典として、もう一手番できたり、クリアに必要な装備カードを変化させたりできます。


えー、必要な装備カードとは。
装備カードには4種類ありまして。ロープとかたいまつとかはしごとかシャベルとか。カードを手番に公開する為には、全員が共有して影響を受ける「ファラオカード」ってので指示されたのと同じヤツしか出せません。一致しないとたくさん持っててもダメ。これは前述の特典を利用するか、特殊カードで変えるほかないです。まあ、なんやらかんやらと自分に都合いいように装備を変えつつ、「とにかく私は前に進むんで、君たちも好きにすれば」みたいな感じ。
ちなみに前に進む方法にはもう一つありまして。どちらかといえばこっちの方が劇的。それが当方にて命名、「無我の境地」。
手札を使い切って0枚にすると、無我の境地になって、大サソリだろうがヘビの大群だろうが断崖絶壁だろうが急流だろうが、プイーっと乗り越えて前に進めてしまうというもの。ちょっと無理がある気がしなくもないですが、その心意気がもうイカス。処理としては移動できた後に、手札を初期状態に戻すってな感じです。
言い忘れてましたが、手札の補充は装備カードの公開と同じく一行動です。手札と山札の交換ってのも同じく一行動。行動はこれら三種ですね。
手札を多くすると、待ちが広いので必要な装備カードが変わっても何かしら出せると。無我の境地狙いになると、待ちが極端に狭くなるので交換が主になるものの、バチーっと決まれば難易度に関係なく前に出ることができると。
なんとなく「無我の境地サイコー」と言いたいところですが、そうもいかず。手札の状況を踏まえつつ、のらりくらりと方針を変えていかないとダメ。しかも最後の財宝だけは無我の境地が使えず、「12ピッタリ」しか上がれないというキツイ制約もありますしね。
他にも、公開したカードを捨てさせる「のろい」やらそれを防御する「安全地帯」やらの特殊カードもありますが、まあ、大体そんな感じ。


とにかく軽いです。とてもサクサクと進みます。展開次第によっては、終盤に若干グダつくこともありますが、まあまあ、仕方ないかなというレベル。ただ、最大6人可とのことですが、さすがに現実的ではなさげ。おそらく4人が限界。邪魔できるカードがあるし、自分の次手番が遠いしで、6人で遊んだら誰もクリアできないんじゃないかと。
それを除けば、ちょっとした合間にパパっと遊べてステキ。飛びぬけてオモシロいわけでもないですが、漫然と楽しいです。総プレイ時間もせいぜい15〜20分くらいのものなので、「むがのきょうちー」とか「ノロイー」とかウダウダ言ってるうちに終わるのもイイ。引き運も強いですが、軽いカドゲだということを考えればこんなものでしょう。
手札を集めた方がいいかな、減らした方がいいかなという2択を「経験」と「勘」で判断しつつも、まるで確固とした根拠でもあるかのごとく手番を進めていくことにオモシロがあると思います。でも本当はずっと一か八かの賭けだったんだ、運がよかったぜ、みたいな。ある意味、「とても冒険者らしい、男気が溢れるゲーム」ではないかと思うんですが。
マイナーゲーなので、出くわす機会も少ないかとは思いますが、その際は是非。一応メビウスさんが扱ってたらしいですよ。