魚を奪い合うアブストラクト。

”「オイそれはオレの魚だぜ(HEY! That´s my fish!)」”

Bumbusから出てたpingvinas(2003年発売)のリメイク。あー、そういえば個数限定でそんな名前のゲームが発売されてましたねえ。あの時はさして気にも留めませんでしたが、今回装いも新たにファランクスから発売。2年後に早速リメイク!という勢いがあるってことはいいゲームってことですよ。ええ。
私はというと、どうにもイカレたタイトル&箱イラストにやられて買ってみた次第。
で、遊んでみたんですが、バリバリのアブストラクトでしたよ。おおっと。
でもバリバリにオモシロでしたよ。おおっと。


さて。


ルールそのものはすごくシンプル。もうこれ以上ないよというくらいにシンプル。
氷を表す六角のタイルには1〜3匹のサカナが描かれてまして。
これをむじゃらと密集させる感じでテーブルにドーン。
プレイヤーは参加人数ごとに異なる数のペンギン(色付き駒)を受け取りまして。
それを一匹ずつタイルの上に配置。このとき、サカナが一匹いるところにしか降臨できません。
全員が全ペンギンを配置できたら、ゲーム開始。
いや、正確には先ほどの配置の段階から熾烈な争いは始まってるんですけどね。
手番には自分のペンギン一匹選んで、好きな方向に好きなだけツイーっと移動できます。他ペンギンを乗り越えたりするのは無理ですが。
で、移動すると「今まで立っていたタイルを取り除いて、そこに描かれたサカナの数分だけ得点」できます。この「今まで立っていた」というのがキモで、移動しないことにはタイルを獲得することができません。
タイルを取るとそこには穴が開いて移動不可、立ち入り不可に。
こういうやりとりを繰り返して、誰もが手詰まりになったらサカナの数をカウントして一番多い人が勝ちっていうゲーム。簡単簡単。


で。


これがまた、かなりのオモシロなんですよ。短時間でちょちょいと遊べますし。
人数が多くなる&メンバー次第では激重ゲーに変貌して激ゲンナリする可能性を秘めてますが、そこまで手は広くないというか急場を凌ぐことを要求されることが多いので、たぶん大丈夫だと思います。でもそんな予想を遥かに上回るゲーマーが揃った時には(以下略。
今回は3人と2人で数回プレイ。
個人的には2人プレイがよりオモシロでしたねえ。3人でもいいんですが、うち2人が喧嘩すると残り1人にとって極端に利になる感じがしてちょっと。よほど3人のアブ度が均衡していないとアレというかなんというか。「相手の損は自分の得、逆もまたしかり」と明快に割り切れる2人プレイの方が、このゲームの特性に合っているように思います。
攻防のキモとしてはまず第一に、如何に相手ペンギンを犬死に、いや、ペンギン死にさせるか(定番の言い換え)。移動できないションボリペンギンを作ってやれば、それだけで得点チャンスが減りますからね。
で、最も大切なのは「自分だけしか立ち入れない広大かつ良質な漁場を確保する」、これです。他人が立ち入れない小島を確保できれば、後で邪魔される事なく悠々とタイルをめくるだけですし、それだけ手番数を節約することに繋がります。
逆を言えば、相手が地域の囲い込みを始めたら、なんとしてでもその地域内に自分のペンギンを送り込まなければなりません。タイルが失われ、到達可能なルートが断絶される速度というのは想像しているよりも数倍早いです。
「六方向への移動」というのが非常に上手い足枷になってましてね。一手を争う局面ではとても歯がゆく感じます。無駄なくタイルを抜けば数枚でわりかし広い地域を孤立させることができるというのもスゴイ。よく出来てるなあって感じ。
移動制限としてはこれと、他ペンギンを越えれない、穴は飛び越えれないくらいのものですが、ゲームを遊ぶとその相乗効果にこれでもかとばかりに悩まされるはずです。イケてます。



目新しさという点では若干アレですが、それを補って余る「巧さ」があります。
アブ好きなら持ってて損ナシじゃないですかねえ。