カッツェンジャマー・ブルース(Katzenjammer Blues)

”「カッツェンジャマー・ブルース(Katzenjammer Blues)」”

ゴールドジーバー発、クニツィア作。
猫のカルテット(4人組)でバンドを組んで、ネズミチップをいただきだー!みたいな変則競りカドゲ。ただのカドゲと侮る無かれ、これでもかとばかりにステキ要素を盛り込んでくれてます。クニツィアのデザインセンスを堪能できる隠れ名作。


さて。


本作最大の特徴。
「集めるモノ」も「支払うモノ」も、とにかくなんでもかんでも同じ「猫カード」で、というそのアイデア! もう秀逸。カードに持たされた多様な役割に驚かされます。おかげでこれだけミニマムなコンポーネント。スゴイです。
そして、そのアイデアを存分に活かしきった「ゲームフロー」がまたステキ。
場に新たなカードが並んで、それをカードで競って、競り勝てばカードを手に入れて、支払って、それでなお状況が許せばカードでネズミチップを買えるという一連の流れ。
もうね、それぞれのタイミングが上手いことなってるんですよ。カードが減っているのに、さらにそこから支払え!ってことですからね。もちろん余力を残すことだって考えないと。終盤ならともかく、ゲーム通じてチップの奪いあいをするわけですから全力なんてもってのほかです。
こうしたギリギリのカードマネジメントが本作の真価。容易にはカードが増えないのでまた苦しい。
全てを同じ手元で賄ってるわけですから、新たなカードを買いたいやら、チップ購入用のカルテットを崩したくないやらと大変。カードの多義性が足枷として機能しているので「あーしたいのにこーできない」と、とにかくジレンマ。無理は禁物なのに無理しないと勝ち抜けられないというギリギリのシビアさ。イカス。
その他、猫カードが場に現れる際の「めくり&バースト」な楽しさ、時折起こるカード供給(収入)の仕組みとそのバランス感覚、万能かと思いきやジョーカー使用過多による罰則の設定など、詳細は書き控えますがクニツィアならではのオモシロが満載です。
が。
実はそのほとんどはいつかどこかで見たようなモノだったりするのは秘密。しかしそれらを上手く消化して、「既視感かもしれない」と思わせるようにチューンしたクニツィアの手腕を高く評価していただきたいわけですよ。やっぱり彼は偉大。


プレイヤー人数に対して得点チップの量が少ないので、存外バタバタと慌ただしく終了に向かっていくその様もオモシロ。短時間収束でスッキリと遊べるにも関らず、苦しさあり、悩ましさありで、かなりイケてるカドゲです。3人くらいがちょうど良いというのもアリガタイ存在かも。っていうかそれ以上だとあんまり。むしろゲンナリ
巷では「物足らない」だの「あっさり終わりすぎる」だの言われてる様ですが、ゴール地点がそこだとわかって遊べば、これほど鋭い展開ったらないです。ルールだけ聞くと「800m走」くらいに思われがちですが、実はバリバリの短距離。「200m走」みたいなカドゲ。