ドラゴンライダー(Drachen reiter)

”「ドラゴンライダー(Drachen reiter)」”

魔法使いがドラゴンを駆ってレースをするっていうボドゲ。もちろん魔法使いだけあって、魔法でグダグダ攻撃したり色々しながら競争します。・・・・って、このへんで勘のいい方は気付かれたかもしれませんが、このゲーム、アレです。地雷です。ゲンナリ
っていうかこれ、カルカソンヌの作者とカラバンデの作者のコンビ作なんですよね。そんなデラックスな組み合わせを事前情報として知っていただけに、期待し過ぎた気がしなくもないんですが・・・・。
はりきって蓋を開けてみれば、とんだゲンナリ化学反応を起こしていたと。そういうわけです。とどのつまりは。


さて。


要素だけを取り上げていけば、実はそこまで悪くはない雰囲気なんですよね。困ったことに。上手く説明さえすれば、「これって本当はオモシロなんじゃないの?」みたいな方向に話を持っていけるかもしれないくらい。
例えば、既存のコンシューマー系レースゲームを彷彿とさせる仕掛けやらアクションの数々とかね。そういうのを熱い!と思う人だって少なくないはず。個人的には「ワイプアウト」を思い出しましたよ。ちょっと古いですかね。
それに、システムの軸となる「スケールを使った移動方法」だってわりかしオモシロですからね。なんというか「ドラゴンを操縦する難しさ」を上手く表現してはいます。最初は慣れず戸惑うだけに、移動プランが綺麗にハマって対戦相手をブチ抜けた時は結構嬉しいと思いますよ。また、とてもアナログな操作感ゆえに、経験やらスキルが活きるようになってます。カーブの加減速やコース取りなんて、クルマの運転なんかと一緒で感覚的な世界ですからね。



・・・なのに、なんでこんな風に仕上がっちゃたんですかねえ。
何かが噛み合ってないというか、ボタンを掛け違えてしまったというか、そんな仕上がり。
たぶんですね、「そういうのはボドゲでしなくてもいい」ってことなんですよ、きっと。


中でも一番イライラきたのは、特色であるはずの「移動方法」。
処理のルール読んで「ヘー、なるほどねー、そうきますかー」とか思いましたよ確かに。
でも実際に遊んでみると、煩雑だしプレイアビリティ低いしでロクなもんじゃない。プレイヤー自身の器用度が問われる感じの面倒ぶり。ボードも駒も滑りやすいもんだから、適当に扱うとすぐズレたり動いたり。なのに各速度のスケールには「カーブの舵角」とか微妙な差異を持たせていたりして。そんな差を活かせるほどの精密な動きは私にはできませんね。混戦になった時とかどうすればいいのかと。実際問題。


このシステムというかワンアイデアに全面依存したゲームだっただけに、「土台が脆くて全倒壊」といった印象。その他アクセント付けといえば魔法くらいのもので、ゲームそのものにひねりが無い。
しかも魔法って言っても、コンシューマー系レースゲーの「アイテム」「兵器」を「魔法」として再現してみたよ、ってなノリなので、さしてオリジナリティがあるわけでもなく。かといって、ボドゲの宿命、コンシューマーゲーほどスピード感があるわけでもないので、同じノリで作ってもその楽しさにおいて比ではないというか、勝ち目はないというか。本当「あーあ」って感じ。


今ルールをひとしきり思い出して、で、オモシロなゲーム展開の可能性を夢想&妄想してみましたが、やっぱり無理。ノーフューチャー。オモシロのカケラも見当たりません。あるのはグダついた展開とそれによってゲンナリするプレイヤー達のイメージくらいのもの。
だいたい、大味すぎてドイツ系ボドゲっぽくないですからね。「ファンタジーで叩きあいのレースゲー」って、もう、まるっきり手法はアメリカン。悪夢のような「アリーナマキシムス」もそうでしたが、きっとこの手のゲームとは相性悪いんですよ私。もう「呪われているのか!?」とか、そういうレベルで。
ちなみに。
コースは組替え可能です。名作レーベンヘルツと同様に。しかもマップタイルは裏表使えるようになっていて、あげく15分割(!)されているので、「ほーらいろんなコースを作って遊べるぞう! 本当お得だねー、君は何通り遊べるかな?」ってこと。
いやね、そんなに組替えませんから。っていうか、私にとっては何通り造れようが一緒。結局、1通りしか遊べませんでしたからね。むしろ組替えできなくても問題なかったですよ。ええ。


ということで。
久しぶりに強烈だったので未だショック覚めやらぬ感はありますが。悪夢のアレと一緒に、年の瀬にでも処分する方向。わりにボード(紙製)が多いので、いい焚きつけになってくれそうですよ。
・・・・私がファイヤーボールを撃てれば話は早いんですが(皮肉。
ゲンナリ
地雷(大)。