ヴァーティゴ(Vertigo)

”ヴァーティゴ(Vertigo)”

ParkerBrothersからひっそりと発売されていたミステリアスな対戦2人用アブストラクト「ヴァーティゴ」。完全に同タイトルなのでとても紛らわしいですが、Eurogamesの有名な地球崩壊ビジネスゲーとは何の関係もありませんので要注意。でも内容はあれに負けず劣らずなオモシロぶりですよ。かなり好み。イカス。
特殊コンポーネントがウリなので、画像を見ながらでないと非常にわかりにくいのですが、いまいちヨサゲなものが見当たらず。ということで、自分で撮ってGeekに上げましたよ。Geekデビュー。いつものごとくタイトルからリンク。どうです、この謎めいたコンポーネント。結構、キてると思いませんか、これ。
目的はというと、「共通の場にあるディスクを先に6枚集めたら勝ち」。それだけ。もうね、折角ですから「こりゃルール和訳か!」という勢いでコンポーネントの構造から何から細かく説明してみましょうかね。


さて。


真ん中の○(円形)の部分にはたくさん穴が開いてまして、ムジャラーとピンが刺さるようになってます。で、円の上部は4つのスロットになってましてね。ここからディスクを投下することが出来ると。まあ、ゲーム開始当初はピンだらけなので、何本かピンが抜かれるまではディスクを入れることすら出来ません。
○の中をなんとか抜けてディスクが下まで落ちると、スライド式のディスク受けがあります。これ、前後に動きましてね。相手側に押しておくと、落ちてきたディスクは自分側に落ちます。簡単な構造。
あと、この○の部分はカチカチと右へ左へと廻すことができます。廻せば、ピンの位置も一緒に動きます。スロットやら、ディスクやら、もうとにかく色々に影響があるんですねえ。一回「カチリ」というと、ちょうどディスク投入のスロット一つ分だけズレるようになってます。
あと、獲得したディスク置き場やら、確保した自分のピン置き場やらがそれぞれの側にある凹みなんですが、まあ、さして動きがあるわけでもないので。
と、ここまでがコンポーネントの大体の説明。でも、まあ、ゲーム内容もそういうことですよ。


手番にやれることは四択のいずれか。
1、ディスクを一枚、4つのスロットのいずれかから投入する。もちろんピンの影響でスロットが閉じてるとダメ。全て閉じてたら選択不可。
2、○な可動部分を左右どちらかに1カチリ分だけ廻す。
3、○に刺さっているピンを一本抜く、もしくは自分のピン置き場にあるピンを一本新たに刺す。新たに刺すためには、先にピンを抜いておいて手元に確保しておかないといけないところがミソ。
4、下にある4つのディスク受けのいずれかを相手側に押す。(ディスクが自分側に落ちるようになる)。


ってな感じ。で、いずれの行動も、相手がした行動を直後に否定するようなことはしちゃダメ。要するに「不毛だから千日手はするな」ってことですよ。同じディスク受けを押し合うとかね。○を右左に廻しあうとかね。


そんなこんな。
で、遊んでみたんですが、これが結構楽しい。ギミックはヘンテコですがやってることはアブストラクトなんですよね。こうきてこうなったら、ここで一枚確定だな、とか。じゃあ、それは捨てて次の布石打っとくか、とか。理詰めで打てば、自然と逃げ場がなくなって収束するようになっている模様。
かといって完全にガチでもないところが私好み。可動部にてディスクの行き先を左右するのがアナログなピンなので、同じ条件でディスクを投下したと思っても必ずしも同じようには転がっていかない。そんな「ユラギの可能性」がこのゲームをとても味わい深いものにしています。○を廻しても、中のディスクが動く時もあれば動かないときもある。なんだよおいー、と思わず声が出てしまう楽しさ。
そんなですから、ピン抜きの攻防も楽しいです。刻一刻と○の中のルートが変化していくわけですよ。でもピンの数は無尽蔵ではないので、刺すためには抜かないといけないし、抜いたら抜いたでまた局面が変わっていくんですなあ。
ウッカリすると一撃必殺、即得点のシャイニングロードが完成してたりもして。うわあ、ディスクの行く末が見えるー、みたいな。それはさすがにマズイので場凌ぎでドンドン塞いでいったら、ピン切れ。「バカめ、深追いしすぎたな。フフフ」ってな具合に押し引きがある。わかりやすい対戦型な攻防が楽しめるんですな。
それじゃあ、とばかりに下のディスク受けをどうにかしてみたりね。よーしこい、君が仕込んだそのディスク、俺がバッチリ受けとめてやるぜ!とかなんとか。うわあ、こりゃマズイってんで、とにかく○を可動させまくってスロットからのルートを根本的に変えてみたりとか。ピン位置ごとグルリ。そしたら、こっちで受け止めるかとディスク受けをグイ。いやいやそうはさせじと(以下略。
まあとにかく、てんやわんやってことですよ。イケてます。


このゲーム、総じて。
初めのうちはさっきからグダグダ説明しているみたく、その場凌ぎな手を打ち合って「コンポーネントな仕掛けに遊ばれる」だけで楽しめると思います。オット、とか、ウッカリ、とか。子供のオモチャのようなオモシロ。可動させたり変化させたりする喜び。
慣れれば「肉を切らせて骨を断つ」的な鋭い打ち筋で、激しい攻防をも楽しめるのではないかと思います。実際、今回のプレイでも更なる攻撃的な仕込の余地は十分にありましたし。このヘンテコぶりを駆使するにはそれなりの技量やら熟練が必要でしょう。案外、アイデアだけでは終わらない懐の広いゲームなんじゃないですかね、これ。
・・・・なんて、見通し甘いですかね。どうですかね。