ツタンカーメン(Tutanchamum)

”「ツタンカーメン(Tutanchamum)」”

「そういえば取り上げたことがない」という事実に気づいたので今さらながら。ちょっくら。
道々に落ちている財宝を拾いながら伝説のピラミッドを目指す、クニツィアの変わりスゴロク風決算ゲー。どこまででも移動できて(ゲーム開始→即ゴールすら可)、どの財宝でも取れるというところからして不思議感満載。近頃、新版も発売されました。でもスコアトラックボードのアクの強さが有名な旧版のほうが好き。まあ、大きいので邪魔ですけどね。


財宝=タイル。で、これがズラーっとスタートからゴールまで一本道に並んでます。種類は15種類。それぞれに妙なイラストと数字が描かれてまして。この数字は全タイルの中にそのタイルが存在する枚数と、集めた時の得点を兼ねて表示。同じタイルが全て取り去られた時(状況は二通り)に、決算。一番そのタイルを多く持ってる人が数字そのまま、2番目がその半分。タイなら云々。その他特殊なタイルもちらほらあります。説明割愛。参加人数によって異なる「規定点」を誰かが越えるか、全員がゴールしたら終わり。でも大抵は規定を満たしてのサドンデス終了がほとんどです。その人が勝ち。
タイルの取り去られパターンですが、プレイヤーがズーンと前進して取るか、誰もが通過してしまって取れなくなるという二つ。バック無用のワンウェイドライブなわけですよ。
で。
基本は、他のゲームでもよく見かける「決算、一位二位だけ得点」です。でも恐ろしくシンプルなのが特徴。「これでもか!」というくらいに細々としたルールを削ぎ落として、クニツィアエッセンスを加えたらこのゲームが出来ちゃったみたいな感じ。
いくらでも前進できるとはいうものの、決算に絡んでいかないと得点にならないので、他人が何をどのくらい集めたか様子見ながら少しだけ先んじていくような展開が理想。特殊タイルとか有効活用しつつ。
このゲーム何がスゴイかって、「バック不可」で「タイルを一本道に並べた」のがもう「クニツィア偉大」って感じでイカスところ。
バックをさせないことで、タイルの獲得、取りこぼし、決算の兼ね合いやらを考慮させて「無闇やたらには進めない」ように心理的物理的制限。あまりに逸脱した攻めを抑制しながらも、でも時と場合によってはドーンといってもOKよ、みたいなゆとりを持たせることに成功しています。しかも一本道なので、実質手前の方の「まとまり」からタイルを取らざるを得ないという。手番の後先による「取られるかも、邪魔されるかも」みたいな不安感。魅力的な多くの選択肢の中から、どれを優先すべきかのジレンマ。
「どこまでも進めてどれでも取れる」というゲームの特徴だけ聞くと、「タイルをテーブルに全部ぶちまけて、手番ごとに任意のタイルを獲得可能」というような自由度の高い状態にも思えますが、「バック不可&1本道」による制限で、とても融通の利かない、プレイヤー間の駆け引きを強烈にクローズアップしたような仕上がりに。シンプルかつスマートでかなりイケてます。
アブストラクト色が強いので好みの分かれる内容には違いないですが、古きクニツィアの洗練を楽しむには絶好のゲームです。短時間ゲーながら遊んだあとの充実感ったらもう。オススメ。