コンスピラシー(Conspiracy)

”「コンスピラシー(Conspiracy)」”

名作「シグマファイル」のリメイク。ほぼ4人専用。リメイクは過去に何度となく行われていて、変遷としては「シグマファイル」→「エージェント」→「コンスピラシー」→「カサブランカ」って感じ。カサブランカのリメイクの際には細々とルール変更されたらしいです。一番大きなのは人数変更ですかね。カサブランカからは多人数プレイ(最大8人)が可能になってます。ま、それはともかく。


「シンプルながら奥が深い」という言葉がぴたりとくるボドゲ。8人のスパイを操って、重要書類の入ったスーツケースを自国に持ち帰らせることが目的。準備された国家予算は10000。スパイは誰に属するというわけでもなく、金さえ積めば簡単に寝返るような存在なので、如何にタイミングよく効率よく金をばら撒くかがキモです。
基本的なルールは、本当にちょびっとしかないです。以下。
手番にできることは3択。「任意のスパイ、都市間移動」「スパイに任務の報酬を渡す(要するに投資。額面は非公開)」「任意のスパイに命令して暗殺させる」。で、スパイは沢山金をくれた国(プレイヤー)の命令を優先するというなんとも現金なポリシーを持っています。だもんで、不利益な行動に対しては、より多く金を積んだ国が拒否権を発動することも可能。主に誰かのアガリを止めたり、暗殺を止めたり。あと、暗殺すると投資から1000取られます。影響力が下がるってことです。「暗殺なんて汚いことさせやがって」、みたいな感じなんでしょうか。
ってな感じでルール終わり。これだけでオモシロなゲームが成立するんだから、すごいですよねえボドゲって。
投資は非公開なので、まあ、最初のうちは心理戦ですね。ブラフで関係ないスパイを動かしたり、実は本命だったり云々。その様子を見ながら機を見てそれぞれのスパイに増資していくと。まあ、盤面はそう広くもないのでなんやらかんやらのうちにゴール前リーチやら暗殺やらの局面になるわけですよ。すると、それを止めるために拒否権発動、その際投資した額面の片鱗が見えるので、ハハーンとか言いながら推測して金の積み合いになったりスーツケースの奪い合いになったり暗殺戦になったり。中でも一番危険なのは暗殺合戦。というのも、殺されたスパイは金持ったまま死んでいくんですよ。積んだ金がパーですからね、パー。暗殺の雰囲気が漂うともう必死。でも決して顔には出しません。全ては水面下の攻防、バレたら抹殺されるのがこの世界の掟。いやはや、スパイ業界も大変ですなあ。
とかなんとか、それはもうごちゃごちゃと「各国の思惑が交錯する・・・!!」みたいな感じでスゴイわけです。かなりのドロドロぶり。相関図とか書いたら昔のメロドラマばりに大変な状況になるのでは。でもその複雑な関係性の中、なぜか間隙を抜けて飛び出せてしまうんですなあ。不思議。
思わぬトバッチリ、思わぬ伏兵、思わぬゴール、とまあ何やかんやと「思わぬ」だらけなので、これらをどれだけ自分の想定の内に入れることができるかが勝負の決め手。情報収集が命ですねえ。
ルールによる縛りが少なく自由度が高い分、ゲームの成立にはプレイヤーのゲーム勘みたいなのが要求されますが、まあ、一度遊んでみて「ゴールを止められない→開始10分で敗北→ゲーム終了」とかいう流れを味わえば嫌でも理解できるので問題もなさげ。
「初版が35年前発売」という時代性を若干感じる内容ではありますが、今でも十分現役で遊べるオモシロがあります。シンプルだからこそ、でしょうねえ。昨今では絶版のため入手難なのだそうですが、無理に手に入れようとせず、まずは自作からでもいいんじゃないかという気はします。相性もあるでしょうし。
そんな感じ。