ヘックメック(Heckmeck am Bratwurmeck)

”「ヘックメック(Heckmeck am Bratwurmeck)」”

クニツィア作のダイスゲー。「焼き虫にヘキエキ」とか「ピコミノ」とか呼ばれてましたが、「ヘックメック」で行くみたいですよ。虫の燻製が大流行という謎の世界観。もちろん、虫を沢山集めることが目的。
飛ぶ鳥を落とす勢いのZochの小箱シリーズ。シンプルルールで最大限の効果ってのは、とてもクニツィアらしい味わい。ちょっと名作グリードを思いだすかもださないかも。なにしろオモシロ。


ダイスは8個の6面体。ちょっと数多め。描かれている目は、1から5。と、6の代わりにピンク色(?)の虫一匹。この虫、カウントの際は「5」として数えます。
場にはドミノばりの虫タイル。質感がとても良いです。上半分には獲得の際に目標となる数字。21から36まで、でしたっけ?ちょっとうろ覚え。下半分には虫が数匹。もちろん難しい目標タイルほど虫は多いです。「タイル枚数」でなくって、「虫の数」が得点。
手番にはとにかくダイスを振りまくって、まずはタイルに描かれた目標数を狙うと。で、達成したらタイルを獲得。失敗したらタイルを返したり色々すると。
詳細は書き控えますが、参加者全員が、驚くほどダイス運が悪かったとしても、収束して終盤に向かうようになっているあたり画期的。ダイス運が悪いと「終わらない」ダイスゲーって少なくないですからねえ。「終わりが見える」仕様が今時な感じといえるかも。


で。このゲームの目標達成の仕方。一投ごとに、1種類のダイス目を指定して、グリードよろしく「抜き取り」ます。確定させるって言った方がいいですかね? 4の目を3個確定させたら12点ですよ。これを毎度繰り返して目標の数字を目指すと。
まず、グリードなどと異なるのが、「既に確定させた目は2度取れない」という点。選択肢は自然に狭まるようになってます。この条件により「取れない」場合は、バースト。失敗です。
あと、確定させたダイス目に虫を含んでいないと、ダイス目の合計がどれだけ高くても失敗、ってルールがあります。そのため、虫の目の確定がかなり重要。しかし、虫の数が少ないと高得点にもなりにくいので、確定のしどころが難しかったり。
あ、そうそう、場にあるタイルの数字に届かない場合ももちろん失敗です。
それと「振り切り」ってのがないので、最大でも6投。しかしバーストがあるので、概して4投くらいが限界。それ以上はだいぶとハイリスク。とはいえ、「それでも狙わないといけないんだ」みたいな状況もあったりして。ゲームの醍醐味。
獲得したタイルは手元に重ねて置いておくんですが、奪われたりする可能性もあり。ダイス目の合計が「ぴったり」だと他人に持っていかれます。しかし、上から順番にしか狙えないので(下になっているタイルは取れない)、蓋して隠す感じ。取るなよう、みたいな。



とまあ、結構淡々と説明してみましたが、かなりのオモシロゲーですよ。
まずは、その状況がオモシロ。「虫出ろ、虫!」とか言いながらダイスを振りまくり。「虫2匹、いただき」「うわあ、俺の虫が・・・・」とか、「うぉぉ、虫が4つも出たよ」「スゲースゲー」なんて一喜一憂。怪しいことこの上ないですからね。勘違い必至。盛り上がりすぎに注意です。
ゲーム自体も、次第に手の狭まる感じとか、バースト系ならではの熱いダイス振りがこれまたスバラシイ。「どの目」を「いつ確定させるか」によって狙い目の広がりやらリスクやらが簡単に変化するので、自分の運と相談しつつ思惑を反映させることが出来る感じ。特に、「虫の目がないとダメ」というルールが非常に効果的に機能していてイケてます。欲張るほどキツくなる、でも欲張りたくなるのが人間、みたいな。また、単純に「足し算を簡単にする」という意味あいでも有効な配慮だったりもして。クニツィア小ざかしい(賞賛)。
コンポーネントも良いし、持ち運びにも便利だし、価格帯も手頃ということで、これはもうマストバイ。これを買わずして何を買うのかというくらいにオモシロです。なにかのついでに「ヘックメック」。旅のお供に「ヘックメック」。是非。



といった感じで、とりあえず話を一旦終わらせておいて。一点注意を喚起。
「ある状況下のグダつく感じ」について、なんですが。
場の取れるタイルがなくなることによってゲームは終了するんですが、残り数枚になってからが少し長いです。それは、「他人のタイルを奪える」というルールが問題なんですけどもね。目に見える終わり際(場の残りタイル)よりも、実際の終了はもっと先なので、それを認識して遊びはじめることが重要です。目に見える部分だけで捉えると、グダつく印象がつきます。はじめて遊ぶ際に陥りがちな罠なので、注意。
また、多人数対応のゲームですが、本当に多人数で遊ぶのは厳しいと推測。4人がベスト、おそらく5人くらいが限界です。「奪える」可能性が増えすぎ。うっかりした人が多ければ別ですが、ゲーマーなら奪うことに必死になるはずなので、そこから端を発して泥仕合になりがちなはず。これは中盤、終盤共に起こりうることだと思うので、むしろ多人数は鬼門と考えておくべきかも。要注意です。


注意事項は多いですが、それを差し引いてもスゴイゲームだ、ということですよ。
ちなみに。2人でも遊んでみましたがわりにイケてます。まったりとダイスゲーってな感じで楽しいです。こういう感覚、今まで無かったなあといったところ。