カメのかけっこ(Schild Kroten Rennen)

”「カメのかけっこ(Schild Kroten Rennen)」”

年間子供ゲーム大賞ノミネート記念で投入。
カメ達の、のんびりレースゲー。クニツィア作。Wining Moves製。
ゲームの内容は簡単。ブラフ系に分類されます。5色のカメがいて、ゴールまでかけっこ。ゲーム開始時、プレイヤーは秘密裏に自分が担当する色を決定。自分の担当色を最初にゴールさせることが目的。
与えられた手札で、カメを前進させたり後退させたり。特定の色のカメを動かすものもあれば、何色でも動かせるカードも。あとは、色問わず、最後尾のカメを動かすといったものも。自分の担当色ばかり動かすこともできないので、色々なカメを万遍なく動かしつつ。
行ったり戻ったりするので、ゴールできるのかな?と一瞬不安になるかもしれませんが、「前進する」というカード内容が割合として多いので、もつれながらも自然にゴールするようにはなっています。
まあ、自分の色をできるだけ前に、他人をできるだけ戻すように、カードを出したいところですが、あからさまにやるとバレますし、あげく邪魔カードはそう多くないので、結局当たり障りなく他人のカメを動かすことになります。あたかも自分の色のように。
そこで活躍するルールがこのゲームのキモとなる「背中に載るぞ」ルール。カメだけに、カメ同士が重なることができます。「コブタのレース(ラッセルバンデ)」ばりに。下にいるカメを動かすと、上に載っているカメも一緒に移動できると。これを利用することで、自分の色を欺きつつ、前に進ませることができます。
で、なんだかんだしながら、ゴールを目指すわけですよ。ちなみにゴール時にカメが重なっている場合は、一番下になっているカメ、すなわちカードを出して動かされたカメが勝利します。なので、最終的には、自分だけしか信じられませんから、自分の色を動かすカードをほどほどに温存しながら、ここぞというチャンスで前に出て、ゴールインというのが、基本戦略。っていうか、全貌。


当日は何度か遊んだんですが、いずれもまあ同じような結末。私が試した方針(戦略?)は二通り。
基本に忠実な「万遍なく動かして、最後にカメ群を抜けてサッとゴールする差し型」と、ダイナミックに「最初から欲望の赴くまま自分の色を動かしまくる先行型」と。
前者の場合、なんとなくカメが一塊になりながら移動。終盤で、手札がどうしようもなくなり「あげざるを得ない」トス。そして、当然持たざるものは負け、持つものが勝ちました。
後者の場合、序盤からカメ群を後ろにグングン走っていけるかと思いきや、カード構成というか手札の巡りに限界があるため、すぐに息切れ。結局終盤は前者と同じような展開に。っていうか、特定の色を動かすカードがそう多くないので、仕方ないのです。ワイルドの数もたかが知れています。
ということで、バランス調整の段階から「誰が勝つのかな? 君かな?私かな? 最後まで勝負はわからないぞう」というお子様に優しい設定になっているのだ、という結論。行ったり戻ったりしながら、まず間違いなく終盤まで勝負はもつれこみます。少なくともゲーマーが遊ぶ限りは、終盤のカード運勝負になりがち。
まあ1ゲームがほんの10〜15分くらいで終わるので、サクッとブラフ系レースゲーを遊びたい時なんかは最適ではあるんですけどね。説明も簡単ですし。
ニヤニヤしながら、「なるほど、青がお好きなようですな」「いやいや、そちらこそ、緑にご執心のようだ」などとグダグダ言いながら、のらりくらりとカメを動かしあい、最後の最後でキラリと目を光らせて、電光石火のゴールインを決めたりするのが正しい遊び方ではないかと。楽しみ方を知ってゲームに臨めば、わりにオモシロ。
コンポーネントについても、カメ駒といい、カードイラストといい、かわいさ満載。それでいて、ゲーム内容は、なんとも「ボドゲらしさのあること」ばかりなので、子供向けといわず、初心者の方を交えて遊ぶ際にも活躍しそうな気はします。味を薄めてあるとはいえ、クニツィア。駆け引きも楽しめつつ、素直にオモシロー、という感想をいただけるはず。そういう点では、案外、使いでのあるゲームなのかも。


まあ、ゲームの内容としては大体そんな感じなんですけどね。
っていうかね、これを5歳児に遊ばせようとするWining Moves恐るべしですよ。5歳の時からクニツィアがチューンしたゲームを遊ぶ。もはや英才教育の域です。しかもこの内容。まったくもって、末恐ろしい話。Wining Movesの攻めの姿勢が見て取れますね。
で。最後に。
日本でも既に取扱いある本作なんですが。決して「大箱ゲー」ではありません。メーカーはWining Moves。カリブ、カルタヘナトランスアメリカとかのメーカー。本作はこれらより若干小さい箱サイズ。ちなみに現地での販売価格もこれらより若干安め。コンポーネントは確かにカワイイですが、カードとボード、そしてカメ駒と色表示のタイルくらいしか入ってません。重量は軽め。
で、何が言いたいかといいますと。・・・・・・えー、そこはほら、察してください。
今回、ノミネートされたことにより国内流通も次第に充実してくるかと思いますので、さして急ぐ必要はないと思います。という、濁し気味な提案でいかがでしょうか。