セネター(Senator)

”「セネター(Senator)」”

元老院を舞台に、議論を繰り広げ他者を論破し、より多くの政策を通すことが目的。オモシロー。
元老院議員の名でも国内流通。私の手元の分はセネター。(どちらかに揃えてくれたらいいのに)


ラウンド開始時には6枚のイベントカードから1枚。場を支配する新たな規則が現れます。ゲームの雰囲気をがらりと変えてしまう強烈なイベント複数。
手札の構成は同じ。怯えるほどにちょっとしかありません。その数7枚。あげく1とか2とかばかり。ビットの方法はハイソサエティ方式。数字の宣言じゃなくて、カードを付け足すというアレです。
ビット中には暗殺という行動も。自他含めた、ビットされているカードを全て捨て札にするというもの。そんなひどいカードを各自が1枚ずつ持ってます。
議題となる政策は人数比率に応じて、ランダムに公開。それから1個ずつ選んで競ると。競りのスターターは前回獲得者か、暗殺者。
で、議題を落札するとまずは特殊能力が使えます。効果さまざま。手札、捨て札絡み、場の政策を云々絡み。それを処理したら、議題の行方を決定。これは自分の手元への配置が必須ではない為。相手にあげることも可能。相手がその政策にとっての対立政策を申請中だった場合、いくつあろうが、諸共に消滅します。今までの苦労が無に。政策は6種。それぞれに2種ずつの対立政策あり。組み合わせは異なったり。
申請中、ってのは、相手に邪魔される状態ってこと。政策にはそれぞれ相性の悪いものがあり、それを同時に申請中にすることはできません。ただ、「申請中」はダメでも「施行」してしまえばOK。
場の競り対象の中には政策以外にも「執政官の承認」というのが。これを同じく競りで獲得すると、手元の申請中の政策を一気に施行し、得点として確定することが可能。施行すると以降は邪魔されることや、対立政策とか気にしなくてすみます。
ラウンド終了は、誰もがにっちもさっちも行かなくなった時、なので政策切れか、全員の手札切れがキッカケ。
ラウンドごとにイベントを変えて3ラウンド。申請中、施行済み問わず、政策を一番多く獲得した人が勝ち。
細々した部分は割愛させてもらうとして、ゲーム内容はだいたいこんな感じ。

とにかく競りが苦しいんですよ、これが。競り負けたらカードは手札に戻ってくるとはいえ、常に暗殺と隣り合わせですから、迂闊に大きなビットはできません。各個人の使用済み手札は全て公開情報ですから、あと何が残っているというのも一目瞭然。ま、それ以前に手札自体が少なめなので、公開じゃなくても丸わかりなんですけどね。
政策を取ったらもらえる特殊能力もアレコレ。いくつか紹介してみましょう。承認なしでも得点確定する政策。追加で政策一個もらえたり、捨て札回収したり、手札捨てさせたり。拒否権マーカーをもらえる政策ってのもありました。拒否権ってのは、誰かが対立政権を押し付けてきた時に、それを無効化できるっていうもの。拒否権マーカーはゲームにたった一つしかないので、奪いあいになりますが。
全ての特殊能力は状況によってイケてたり、そうでなかったりするので、その良し悪しが競り時に影響与えたりして、画一的でない相場観の形成を促しています。これはゆらぎとしてゲーム通じて変化するので、良くできたものだなあ、などと思ったり。
暗殺怖い、対立怖い、特殊能力怖い、という次第ですが、実は一番地味に怖いのはイベントカード。これ、ラウンド中は常に効果ありますからね。おとなしいのもあるんですが、中には強烈なのも。せっかくなので、強烈なのをいくつか紹介してみましょう。
例えば、競りでビットしたカードが、競りの勝ち負けを問わず手元に戻ってこなくなるとかいうイベント。これはキツイです。競りに絡んだら、カードが必ず捨て札になりますからね。一度出たら引くに引けないし、かといって頑張りすぎるとカードが激減してしまうしで、なにかと消耗が激しいわけですよ。
あとは、最小ビットがカード2枚以上ってやつ。これも消耗がひどくなる系ですね。数字じゃなくて、カード枚数で制限かけてるあたり、とてもいやらしい。他にも、このラウンドでは承認ができなくなる、だとか、政策を3つ追加とか。あと二つは秘密。

全体通して。
ぶわっと盛り上がるような勢いが始終あるわけではないですが、とても堅実なオモシロがあると思います。安心。
なにかと情報公開型なので、人によってはちょいと重い感じがするかもしれないです。純粋に価格の競り上げを楽しむ、というよりも今後の兼ね合いを考えて戦略的にビットするという方向性。ギリギリ言わされる悩ましさを伴う攻防。だって、相手の残存戦力とか丸わかりですからね。そりゃ当然の話。
かといって、じっくり長時間ゲーというわけでもなく、特殊効果の応酬やイベントの強烈さもあり、3ラウンドなんてあっという間。わりに短時間収束だったのでビックリしたくらいです。
コンポーネントイカス仕上がり。各政策はしっかりとした厚みあるタイル。申請中と施行済みや、捨て札とビット中の区切りをつける巻物ボード(?)もステキ。ワンランク上のコンポーネントですよ。広げるボードはないですが、決して見劣りしないです。


システムは競りですが、競りゲーとして買うと肩透かしをくらうタイプのゲーム。カドゲですが、戦略系ボドゲの感覚で遊んでいただきたいところ。とはいえ、オモシロ。クセはありますが、通好みの佳作でわりにイケます。