社長の決断(Executive Decision)

”「社長の決断(Executive Decision)」”

簡素な構造ながら、シビレルオモシロさ。
モノづくりの社長さんになって、お金儲けすることが目的。何を作っているのかはよくわかりませんが、そんなことはこの際どうでもいいんです。
材料を買ってきて、それで製品をつくり、売却するまでという一連の流れを1ヶ月ごとに行い、それを計12ヶ月行います。1年勝負ってことですね。とはいえ、この期間はプレイヤー任意なので、ゲーム開始時に、4ヶ月勝負で、と言えばそれでも問題ありません。期間はどうあれ、とにかく総資産勝負ですから、時間がなければ減らしてもいいのです。ステキ。でも醍醐味が減るのでやっぱり1年を推奨。
「材料」は3つのグレードに分かれています。上からX-Fine、Fine、Std。つくる製品も同じく3種。上から順にA、B、Cとなっています。材料は品質が高いほど相場価格も高いです。製品も基本となる売却価格に差があります。Aが高い。
売却対象となる「製品」は材料3つをあわせて1個作ることができます。その際、特に製造についての判定はありません。とにかく必要な材料3つを集めたら作れます。必要な材料は製品により異なり、Aなら材料を2・1・0、Bは1・1・1、Cは0・1・2。といった具合。表記には品質が上から対応していると考えてください。ちなみに必要な材料については、若干の互換性があり、上位グレードの材料を直下の(1つ下の)下位グレード材料として代用することが可能です。例えば。製品CはX-Fine1つ、Fine2つあれば代用にて製造できます、といったような。結構もったいないですけどね。しかし、状況次第ではそうも言っていられないかもしれません。このあたりも読み合いの一要素。
材料を買って、製品にして売ると差益がでます。基本的にはこの売却益を追うことになります。最初はそう大きいものではないですが、この世界はどうやら好景気な感じなので、どんどん売却益が大きくなるようになっています。バブリー。


コンポーネントもいたってシンプル。
テーブル中央にはボード。このボードには各材料の買付相場価格や各製品の売却相場価格が月ごとに記入できるようになっており、その他相場変動に関しての表云々もマトメられています。このボードはクレヨンで書き込むタイプ。むかーしの相場師っぽくて雰囲気でます。
あとはお金と各材料の所持を示す券と、プレイヤーがビットやらに使用するシートぐらいなものです。
このビットシート、今見てもウギギとなるくらいにゲーム中は見つめることになります。
ビットシートの上半分は材料の買い付けに、下半分は製品の売却に。片面6ヶ月、表裏で12ヶ月と。


では、月ごとの行動を追ってみましょう。
まずは材料の買い付け。手元のシートに3つのグレードそれぞれについて、「どれ」を「いくつ」「いくら」で買うか書き込みます。値段も買い手次第なところがキモ。しかし必ず買えるとは限りません。
各材料の値段はプレイヤー全員で「どれだけの数の注文を入れたか」で変化します。変化後の相場価格と同じか、それより高い値段をつけて注文していれば、「自分が注文時に書いた値段」で買えます。
例えば。「Fineを4つ、1つあたり34で買う」という注文を入れていたとします。しかし他のプレイヤーもFineに注文を多数入れていれば、市場原理に従い相場価格は上昇します。仮に38になったとしましょう。すると、注文は34で入れていますから、今回はFineを買えないことになります。逆にFineが不人気で注文が薄く、相場が下落して28になったとします。しかし34で注文を入れていますから、指定の値段で買わなければなりません。1つあたり差額の6はドブに捨てることになります。
てな感じでそれぞれの材料について処理して、買えたら買えただけ材料を受け取って、お金を払って、次。
製品の売却です。方向性は違いますが、要領はさっきと一緒。売りたい商品の売りたい数と売りたい価格を書いて、結果を照合して、相場価格と同じかそれよりも安ければ(ここが逆)、売却成功という具合。
また、どちらにしても、相場の変動は前月の結果をもとに算出していきます。そりゃそうですが。
その他ビット時にちょっとした制約や違法行為に対しての罰則もありますが、ここでは割愛。



あとはこれの繰り返しです。12ヶ月。
一文でまとめると、多人数ビットによる相場変動のユラギを予想して、最大限の利益を求めて適正価格で売買を繰り返す、というゲームですね。こう書くとかなりソロっぽいですが、買い注文やら売り注文の入れ方次第で嫌がらせしたりも出来ます。とはいえ、自分第一には違いないですけども。
で。
今回はダラダラとヨタ話をしながら2時間くらいかけて遊びました。相場表を見ながら、テキトーな相場予想をしたり、変なキャンペーン組んだり云々。ゲーム自体は慣れた方が手早くやればもっと短くすむのかもしれませんが、よくわかりません。なんにせよ、オモシロに遊べたらそれが一番ですからね。
全体通して見ると、とにかく積み重ねが響くゲームです。製品価格の上昇なんかを見る限りでは全体的にバブリーな感じですが、大雑把にビットしてワーワーやるというわけにはいきません。だいぶと節約精神が必要なのです、これまた。
例えばあるプレイヤーが全体的にオーバービット気味で、材料買い付けにおいて全ての商品を2ずつ高く買ってしまったとします。すると参加人数にもよりますが、大体、月平均15くらいは損失が出る事になります。これが12ヶ月続いたとすると、180の損失。今回の勝者は総資産1500でしたから、この損失の額面の大きさを理解してもらえると思います。
必達の勢いで買おうと思えば、いくらでもオーバービットできます。状況次第ではそうしてでも、材料の調達が急務なこともあります。が、それが続いて、無駄な支払いが積み重なると、とても手痛いわけで。
売却についても同様です。ここぞという時には利幅を押さえてでも売り抜かないといけません。
しかしまあ、どちらにしても差し迫る前に計画的な売買をしておけばいい話なのですけどもね。でも、そうもいかないわけですよ。ああ、ツライ。ああ、悩ましい。



この手の内容のゲームはどちらかといえば敬遠気味なポジションで今迄ノラリクラリとゲームしてきたのですが、これについてはもう、いやはやこんなにオモシロなものがあったとは、というくらいに感激しましたよ私は。
これを読まれても何がナンダカ伝わらないかもしれません。それは私がアレなだけなので、すみません。
相性もあるでしょうし、万人にウケる内容とも思いませんが、個人的には過去プレイの中でもかなりの高位置にくるオモシロがありました。ばちーんと私が思うオモシロのツボにハマッた感があります。
バリアントを入れてもう少し複雑に遊ぶ事もできるようですが、このあたりになると調味の問題ですから、好みによるところでしょう。素材はスバラシイので、そのままでも十二分に美味しくいただけました。
メンツに恵まれたことも、この好印象にたぶんに寄与していますが、それを加味して考えても、これは燦然と輝くオモシロ。イカス。ミラクル。とにかくスバラシイのです。


余談ですが。このゲーム、コンポーネントのボードを使わず、他の適当な紙に相場変動を書き残しておけば、プレイヤーが使用したシートと併せて、ゲームを完全に再現できます。そりゃそうです、ビットしながら棋譜残してるようなものですからね。
それと。これ、過去に日本語版が販売されていたようですねえ。それは気になりますよ。まあ、きっと入手困難ですが。