「ピックアディリー(Pick A Dilly)」

”「ピック・ア・ディリー(Pick A Dilly)」”

雌鶏になって、タマゴを産みまくるゲーム。バッティング風味な心理戦が主の内容。
やることは至極簡単。
参加者全員で自分の担当色を決定。これにはイラスト入りの自分表示タイルがあるので、誰がどの色かってのは明らか。さらに、プレイヤーには属さない白い雄鶏もいましてね、これは雌鶏たち(プレイヤーたち)のところをウロウロするいけ好かないヤツなのですよ。
で、プレイヤーはそれぞれ「エサあげますダイアル」ってのを受け取ります。これには雄鶏含めた全ての色の雌鶏が描かれています。矢印が一個だけあるので、どれかの色を指し示すことができると。
このダイアルを使って秘密裏に一斉にビットして、自分含む誰か一人だけにエサをあげます。で、そのエサの数次第でタマゴを産めたり産めなかったりするわけです。で、タマゴを人数によって異なる規定数だけ、誰かが産んだら勝ち。みたいな。
なにがアヤかと言いますと。タマゴを産む、その条件にあります。とりあえず列挙。
特定の雌鶏に対して。エサ0個→タマゴ1個産める。エサ1個→タマゴ産めない。エサ2個→タマゴ2個。エサ3個以上→タマゴ3個。って感じ。
あと、白い雄鶏にエサをあげると、エサの数だけ雄鶏がウロウロして、移動先の雌鶏は興奮してタマゴを追加で1個産みます。
条件を見たら大体展開も推測つきますけどね。中でも最重要なのは「エサ1個だと、産めない」と「雄鶏がくると、さらにもう一個」。この二つでしょうか。これがアヤなんですねえ。
他人の邪魔を予測して、自分にビットしていれば、たくさんタマゴを産めるでしょう。しかし、他人が裏をかいて自分にビットしていなければ自滅することになります。自分が他人にビットする際も同様です。
自分にも他人にもビットしたくないってことになると、雄鶏ビットをすることになりますが、これもまた良し悪し。敵に塩を贈るかもしれないリスクを常に抱えています。
ということで、如何に相手の裏の裏を取るかという、完全に心理戦ゲーなわけですね。


これ、わりに遊べます。他のボドゲやカドゲなんかで見かける複雑な兼ね合いバッティングの要素を「簡単なシステムと結果」に上手く置き換えてます。シンプルなジレンマというか悩ましさの部分だけを抽出した感じですからね。非常に気軽い裏読みビットゲーな仕上がり。
しかしまあ、なんと言いますかその無理が祟ってか、楽しみ方もちょっと大味気味になってしまっているかも。多人数対応なゲームですが、しかし多人数ほどにその傾向が顕著です。
十傑ランク時にもちょっと触れていましたが、ゲーム中に「注目される/されない」が勝負を分けます。言い換えれば、「邪魔される/されない」です。
自分になんらエサが与えられなければ、着実に一個タマゴを産めます。が、勝利には到底遅すぎます。雄鶏もいくらかは活用できますが、それは他者も同じ条件のはずですからね。結局のところ、勝敗ラインに達するには、他人の邪魔を活かした大量得点がほぼ必須なのです。だもんで、邪魔されなくなる「他者に比べて低得点」な状況に陥るとほとんど挽回できません。
まあ、勝ち負けをそう気にせず、「ビットの勢い」と「産んだ産めなかった云々の一喜一憂」でワーワー楽しめばいいのですが、それでも多人数の中であまりに遅れるとちょっとションボリするのでは、とも思ったり。
で、模索してみたのですが、どうやら最小人数の3人プレイが一番このゲームのオモシロを楽しめる模様。雄鶏の効果(&影響力)が最も大きく、多人数時と比べて意図的に活用できますし、全ビット数が少ないので、他人との兼ね合いで得点するという趣旨が身に染みて理解できてしまう人数。もしくは、他者を意識しあえる人数というのが、どうやら3人な感じ。
遊び方次第なので、なんとも言い難かったりもするのですが、まあ総合して普通。ある状況下においては楽しめると思うので、ヒドイということも無く、地雷というほどでもなく。
あー、もー、我ながら微妙です。そんな、ピックアディリー。