コズミックコースター(Cosmic Coaster)

”「コズミックコースター(Cosmic Coaster)」”

詳しい所感を綴りたくても綴れないという苦悩に満ちたゲーム。
なにせ私がいつもの調子で詳細を書き出すと簡単に自作可能な内容なので、それではあまりにメーカーさんに申し訳ないのですよ。こんなオモシロなアイデアに対してちと失礼。シンプルなボードの中には深遠なる仕掛けが潜んでいるのです。
という事で。ルールがいまいちわからない程度に。
コズミックの名を冠していることからも想像がつきますが、強烈な特殊能力を武器に戦闘しまくるゲーム。
プレイヤーは4つあるいずれかの惑星人となり、他の星に侵攻&植民地化した末、見事自分の星に凱旋することが目的になります。
惑星間の移動は全てテレポートです。ちなみにテレポート先に存在する宇宙船は、時空の歪みに飲み込まれて消滅します。これが相手宇宙船を消滅させる第1の手段。
第2の手段は戦闘による破壊。戦闘の解決方法についてはRPSシステムを使用します。
ちなみにRPSとはRock/Paper/Scissorの略称。日本名「じゃんけん」です。
当然、戦闘処理の際は「じゃん・けん・ぽん!」などといったローテクな掛け声を叫ぶのではなく、
「アール・ピー・エス!」と声高らかに宣言するべきでしょう。雰囲気から違ってきます。ちょっと高貴な感じです。銀英伝みたい(言い過ぎ)。
で。そのRPSによって様々な戦闘結果(3種類)が導きだされるわけです。ちなみにこれも特殊能力で変化します。なので結構多彩。
手番にできることは、移動したり、戦闘を仕掛けたり、テレポートしたり、破壊された宇宙船を再生させたり。とにかく処理時間が短いのでサクサク進みます。そして、惑星ごとに与えられた特殊能力を駆使して、この惑星間大戦争を勝ち抜くわけですよ。


さて。もちろんこのゲームの目玉はRPSですが、実はコースター型惑星ボードに描かれている、施設の位置がかなりよく考えられています。この微妙な位置取りのおかげで、このゲームが単なるジャンケンゲーに終わらなかったと言っても過言ではありません。
テレポート時と生産時の制限(あるんです、そういうのが)もあいまって、「何かをするためには、一時的ながらも何かを犠牲にしなければならない」配置になっています。具体的には1〜2手番くらい遅れがでるような状況に。
そんな些細なと思われそうですが、時に1手番は致命的です。
例えば。
こちらがテレポートして相手の惑星に侵攻する前に、相手が自分の惑星に侵攻して来て宇宙船が1隻破壊されたとしましょう。仮に、その破壊された船を再生産しないと「もはや攻撃も背水の陣」みたいな状況だったとしたら。以降に想定される行動は生産準備と生産で計2手番、これが確定で「持っていかれる」のです。その2手番分で、さらに・・・・・と被害は拡大なスパイラル。ゲーム中は手番が早いのでそこまで気にしません(気にならない)が、手番にはそのくらいの重みがあるという事。
なので、時には万全を期することを捨てて、ひたすらな侵攻を選択することも必要です。攻め時を見逃すな、ということですね。
構造や進行がシンプルなだけに展開がやたら早く、状況はコロコロ変化していきますから、変な言い方ですがそういった節約意識の積み重ねが大切になっています。
・・・にしてもよく出来ますね、このボード。最小の労力で最大の効果を感じます。


とまあこういう諸々の下地に特殊能力が絡むわけです。すると俄然に広がる戦略の幅。強力、なのに破綻しないゲーム性。これは色んな意味で、もはや伝説のゲームですよ。
と褒め称えたところで、注意を数点。
破綻していないのは、それが大味のギリギリラインであるから、と、プレイヤーのモラルに多くを依存しています。当然、あまり続けざまに何度も遊ぶようなゲームではありません。また、真剣に考えて遊ぶようなゲームでもありません。勢いが最重要です。堅実なプレイヤーばかりで遊ぶとゲームが終わらない恐れがあります。さらに、最大4人まで参加可能ですが、基本は2人用でしょう。増えて3人が限界。人が増えると攻防の焦点がぼやけてオモシロが減少しはじめるのです。最良は二人で呑みながら、ダラリと。これです。
って、結構注意点多いですね。しかし、そのオモシロを堪能頂く為に。