”「バスシュティッヒ(Was Sticht?)」”

久しぶりに投入。今回は規定数を少なめにしてのショートゲームで。
王道でありながら異端であるという、謎ポジションのトリックテイクなカードゲーム。個人的には絶賛の部類。発売元はMoskito。1995のノミネートものですが、海外では今でも問題なく入手可能です。大人気なわけですね(主観)。
基本は切り札ありのマストフォロー。与えられた課題(「緑色のカードは取らない」とか「1トリックも取らない」とか「最後のトリックに勝つ」とか)を達成していくタイプのゲーム。構造上、4人が最適です。なんとも王道。
問題は、各々の手札がラウンド開始前に全部明らかにされてしまっている、という点。・・・・こう書くとちょっと語弊ありますか。
まず、各ラウンドには親が居てそのラウンドの切り札を決めます。その際、「数字切り札決定山札」と「色(スート)切り札決定山札」・・・・言葉にすると長いですね・・・・からランダムにカードを引くんですけども。決定された切り札はこの時点ではまだ他のプレイヤーには知らされません。で、ここからがこのゲームの真骨頂。
まず、親は全てのカードを表向きにテーブルに並べます。参加者4人なら縦に4枚ずつ、列を作ってそれをズラーっと並べきります。そこからプレイヤーたちはカードを各列ごとに一枚受け取っていきます(任意選択)。こうして、自身の手札を作っていくことになります。
また、この手札構築時、各プレイヤーがカードを一枚受け取るごとに親は、カードを取り始めたプレイヤーを「リードプレイヤーと仮定」して、各プレイヤーが受け取ったカードを「一連のトリックとして解決した」場合、誰がそのトリックに勝利するかを宣言します。
親だけは今回の切り札を「知っている」ので判定できますが、他の人々はもちろん「知らない」ので、その判定結果から今回の切り札が何であるかを推理しなければなりません。
それをカードを全て受け取るまで続けて、このラウンドの手札を決定すると。そしてようやく親が引いた切り札決定カードが表にされて、何が切り札なのか(だったのか)が判明するのです。
この切り札推理というのがオモシロなんですよね。自分が選択できる課題についてはゲーム開始の段階で、課題チップとして配られていまして。ラウンドごとにどれを狙うかは選択できるのですが、早いうちに切り札を見抜くことができれば、より有利なことには違いありません。
また、この時点で誰がどのようなカードを取ったかは丸わかりなので、凄い方なら全てをカウンティングすることも可能です。もちろん私はできませんが。
このカード分配&切り札推理フェイズを終えたら(慣れるとすぐに終わります)、いよいよ本番、課題達成に向けて実際にトリックテイクを行っていきます。各プレイヤーは今回目標とする課題チップを提示。親は「切り札を知っていた」というアドバンテージがありますから、ちょっと特殊な目標。誰かの課題達成を邪魔して、代わりに親が自身で達成できるとOKみたいな感じ。テクニカルな目標ですが、成功すれば自分の任意の課題チップを達成したと見なすことができます。
これを何ラウンドでも続けて、誰かが課題チップを全部達成したら終わり。もちろん達成しきった人が勝ちます。
このルールを聞いてニヤリとした人はトリックテイクがお好きな方のはず。期待通りのオモシロなのです。
ラウンド開始前に手札内容が丸わかりなので「重く」遊ぶこともできますが、真髄は「サックリ」「なんとなく」。切り札推理を楽しみつつ、トリック本番を「あー、あれ持ってたっけなあ」くらいの感じで気軽く遊ぶのがオススメです。
最後に。重ねて言いますが、特に推理がイイです。早期にわかれば楽ですが、見えてこない時の悶々とした不安感。切り札決定の中には「色(もしくは数字)切り札なし」というのも混じっているので、時に推測が難しく荒れるようなことも。数字と色切り札を見抜くオモシロは実に痛快です。
「王道を行く異端」の趣ある味わいを堪能していただきたいミラクルゲー。トリックテイク好きの方は是非。その濃密な構造に惚れ惚れしますよ。