恵まれています。

”「政治献金ゲーム(Stimmvieh)」”

ふと開封品が放出されていて運良く入手できました。これだから限定品は困ります。数がないので難儀するのです。って、それはともかく。
これは小品なカードゲームの中では群を抜く渋さ(褒め言葉)。かなりオモシロな一品。
ネット上でチーラリホーラリと良い評判を見かけてはいましたが、それは真実。「ルールを読んだだけでは不安になる」というのもまた真実でしたが。
これは確かに不安になります。だってオモシロさが感じとれませんからね、このルール読んでも。かなり損してます。実際に遊んでみないとこのゲームシステムの、カード構成の渋さを始めとする針の穴を通すような繊細な加減が見えてこないのです。
正直言ってこれは困りものですよ。なにせルールの話しても伝わりませんから、あまり書くことがありません。詳細についての言及が少ない理由は、少ない流通量とこの難儀な事情のせいだと推測しますが如何なものでしょうか。
でもまあ、一応は。
ゲームは至極簡単。政治家になって、政治献金を集めるというゲーム。各プレイヤーはそれぞれ同じ構成の政治家カードを受け取ります。一組=一政党。自分の政党の政治家を上手く使って、金を集めるわけですよ。数枚はテーブル上自分の前に公開して、残りは手札として隠しておく。その構成は任意。で、共通の場として公開されている献金カードやらを、自分の政治家の影響力(強さ)で拾っていく、という流れ。
場に公開されるのは、献金だけではなくて、投票(獲得票)カードってのもあります。これは他プレイヤーより多く集めると最終的に獲得した献金が倍になるという効果が。選挙区の大小(参加者の人数)によって当選人数は異なります。当選すると献金が増えるというのは生々しくてイイですね。
ゲームの終了は全員のカード使いきり、手番には必ずカードを使う(もしくは無駄にする)ので、1ゲームなんてすぐ終わります。
献金を主体にするか、投票を絡めて倍付けにするか。中途半端では勝ち抜けないので、様子見ながらどちらかにシフトするという感じ。
曲者なのが、拾い集める対象であるカードが場に補充される際の処理。投票カードと献金カードはそれぞれ別の山札とされています。で、手番に政治家カードをプレイするとき、「公開している政治家」を使うと投票カード、「手札にいる政治家」を使うと献金カード、というように対応する山札から補充されるのです。
この絡みが強烈なのですよ、ナカナカに。聞くとなんてことない感じですが、良く出来てます。
それというのも前述したカード構成の渋さに起因。献金額も得票数もかなり渋い分布になっているのですよ。手番数も同じ、政党に属する政治家数もまた内容も同じですから、主眼となるのは他者よりも高い対費用効果を狙う。これです。
なんとも気軽く悩ましい、ステキな仕上がり。軽いので1ラウンドでは物足りなく思ってしまうくらいです。そりゃラウンド制を推奨したくもなりますね。たしかにめくり運での流れもありますし、平均化を思うと実際そうするべきかもしれません。といっても、完全運ゲーということもなく、手元カードのやり繰りと若干の記憶がカギとなる渋さ。
イラストもショボく、コンポーネントの質感なんてかなりアレ(カードペナペナ)ですが、これはかなり遊べるカードゲームです。手始めに、脆弱な画用紙(っていうかカード)を改善しなければなりますまい。現状ではそこが唯一の弱点かと。