有る意味燃える。

”「砂漠を越えて(Durch die Wuste)」”

これイイですね。オモシロ。少し古いゲームですが、アクのない仕上がりがとても遊びやすいです。良い意味で力が抜けたクニツィア先生の過去作。1998。
砂漠に生きる民族が、数少ないオアシスやら水溜りやら土地やらを自分に属するラクダで囲みこんだりするゲーム。ラクダの色(っていうか種類)は5色あるんですが、誰が何色担当ってわけでもなくて、殖やす段には戦略的に何色を使用してもかまいません。既に配置している自分の隊列に加えていくことで、これは私のラクダです、みたいな区別をしていきます。
え、ごちゃごちゃになりそう、と最初は思いましたが、自と他で同色のラクダは隣接できないという配置制限があるので、全く問題なし。しかも、この制限が隊列(もしくは領地)の拡大時に縛りに変わっていくあたり、クニツィアめー、といったところ。本領発揮ですねえ。
手番には任意の色のラクダ2頭を自分のキャラバンに加えて、隊列を延ばしていくだけ。それが結果的に、オアシスや水溜りに辿り着けばインスタントな得点になり、ラクダの隊列で任意の土地区画を囲みきれば最終には得点となり、各色で最長のキャラバンになっていればボーナスがある、というのが得点源のほとんど。他にもなんやら制限ありますが、基本はこれだけ。これらを踏まえて、自分に得して相手に損する配置を繰り返す、要は陣取りです。ラクダのどれか一色が尽きたらゲーム終了。ルールとしては文章量も少なくかなりシンプルめにまとまっています。
実はこれも以前は「食わず嫌い」をしていたゲームの一つ。イゴイゴとしたイメージが重苦しそうな雰囲気で避けていました。しかしこれが遊んでみれば存外気軽い手応え。「重くない」とは参加者にもよるので断言できませんが、おそらく大方の想像よりもずっと軽いはずです。
それでいて「ラクダ2頭しか置けない」苦しさが悩ましさに転化されて非常にオモシロ。他者との絡み合いが多いツクリなので攻防も楽しい。得点したい、でも邪魔しないといけないし・・・・ムキー、ラクダ10頭置かせてくれー!、みたいなオモシロ。
序盤は他者に先んじてインスタントな得点を獲得する為に「他もあるけど、先にこうしておくべきだろう」という思考が優先されることもあり、わりに手早い感じ。しかし終盤になるにつれて重くなる、ということもなく。取りこぼしのないように可能な得点を確定させていかなければならないので、いつまでもウダウダと手広く漫然とすることもなく、サクッと収束していきます。なんと言いますか、長期的計画をアタマに置きながらも、しかしゲーム中は終始、現状を踏まえた計画の最適化を要求される感じ。基本があるから、早い。で、悩ましさを抽出して堪能、ってな感じ。
洗練された「良いクニツィア」なジレンマに、ゲーム中思わずニヤニヤしてしまいましたよ。
問題があるとすれば、巷で良く指摘されているところの「パステルカラーのラクダ」。たしかに光源がしっかり取れる明るい環境でないと視認性が落ちますね、これ。でもいいんですよ、盤面がキレイだから。ぜひタイトル先のリンクで画像を一度ご確認いただきたい次第。
というか、そういう話でもない気もしますが、その辺を差し引いてもかなりにオモシロゲー。また遊びたくてウズウズしてますよ、私は。今回は4人でしたが、3人くらいでもオモシロそうですねえ。