"「妖精奇譚(Fairy Tale)」"

はい、やっぱりオモシロでした。しかし基本構造が異常にシンプルなので「物足りない」「考えどころがない」「淡々として盛り上がりのない」という印象を持ってしまう可能性があります。あまり悩まずに即断される方ほど、このゲームとは反りが合わないのではないでしょうか。
進行としては、最初に配られた手札をグルグル巡回させながらカードを一枚ずつ選んで、計5枚にして、そこからカードのプレイ、一斉公開方式でカードを出しては効果を判定して3枚使用、2枚は消えると。使用したカードは状態に差こそあれ、自分の前に並んでいって、それを4回繰り返して、手元に公開されたカードの得点計算して多い人が勝ち。
カードプレイの機会は都合12回という実にアッサリとしたゲームですから、なによりもカードを巡回させて選んでいくという「ドラフト」部分が命ですね。この印象次第で、ゲームの評価はガラリと変わってしまうと思います。あまり悩まない方は・・・・と冒頭で言ったのはこれがある為です。
回ってきた手札からは常に1枚しか選べない、残りのカードは隣のプレイヤーに渡さなければいけない、でも欲しいカードもたくさんあるしあげたくないカードもたくさんある、このカードなんか特にレアだからもう出てこないかもしれない、どうしたらいいのかな、というカード選択のジレンマがゲームの肝です。隣からカードが回ってくるたびにその取捨選択をしないといけないので、とても苦しいわけですね。しかもたいていのプレイヤー(ゲーマー)は他のプレイヤーに良いカードを譲るのは苦痛に思うはずですから、なおさらです。もちろん、私もそうですけども。
あとは如何に手元に公開されていくカードと上手く組み合わせて得点を増加させれるか、そのためにはどれを優先するか、という兼ね合いですね。もちろん、これらプレイされたカードは全公開なので、周りを見渡せば自分は欲しくなくてもここでどうしても止めなければならない、みたいな状況も出てくるわけですよ。あー、考えただけでも辛いですねえ。
まあ、そういうゲームです。慣れると1ゲームが即座に終わるので、軽い重いでいうと「軽い」ですね。ですが、その言葉以上の悩ましさ苦しさ葛藤は常にあります。自分との戦いのようなものですから、ソロプレイっぽいと言えなくもないかも、ですね。
ふと思ったのですが、このゲームの葛藤は「ゲームを買うとき」のそれに近いです。これとこれが欲しい、でもこれも欲しい、でもそこまでのお金はないから今回は諦めて買わない、でもそうすると誰かが買って売り切れたりするかも、そうしたらもう今後は再入荷しないかもしれない、みたいな。・・・・身悶えしそうな苦しさですねえ。いいゲームの証拠です。
ところで。余談ですがこのゲーム、「マニュアル」の構成も文章もかなり判りにくいです。ルールはさほど難しいものでもないのに、言葉足らずだったり、関連付いた表記がされていないせいで、何が言いたいのか始めはサッパリわかりませんでした。遊んでみればスッキリわかる内容も少なくないですが、あれを読んでゲンナリする人も少なくないはずです。オモシロゲーなだけに実に残念だなあと思ったので、ちょっと言ってみた次第。