テーブルに惨劇が舞い降りるカドゲ。

”「ポンペイ(Pompeji)」”

ああ、また災厄の地にやってきてしまった。
ポンペイですよ、ポンペイ
今回私をかの地へと召喚したのはAdlung製、ポケットサイズのアレです。何度か紹介しているAmigo製のボドゲとは別物。本作はとても小さなカドゲです。あ、今、五七五になってた。って、そんなことはどうでもいいですね。
色んなメーカーからポンペイテーマのゲームは発売されていますが、これとアミーゴのがおそらく認知度二大巨頭でしょう。(決めうち)


では早速。


そう遠くはない未来にヴェスヴィオ山が噴火するので、それまでにポンペイシティをセコセコと、しかしステキに発展させていくぜ!というゲーム。いずれシティはメチャメチャになるのに、悲しいかなポンペイの人々はそれを知る由もないという。
しかも発展とか言ってみましたが、プレイヤーたちにはこれっぽっちもステキな街を作ろうという意識はありません。全ては得点の為に。ああ、憐れポンペイの運命や如何に。



箱ー。


箱外観


見てくださいよ、このドロリとした溶岩の流れっぷり。
これがポンペイの街を襲うわけですねえ。っていうか、早くもどこぞの街を襲ってますからね。
まさかこれがポンペイだというのか! いやいや、さすがに近すぎます。
まあとにかく、この小さな箱一杯に詰まった悲劇のドラマ。ああ、ポンペイ(以下略。
とはいえ本作ではアミーゴのアレとは異なり、その惨劇の詳細まではゲームとして描かれていません。幸いといえば幸い。
だがしかし、本当の惨劇はゲーム中に起こるのだった・・・・!!
のだった・・・・!!(残響)



序盤ー。


はやくも大変そう。


こんな感じで街が発展していきます。
発展? ええ、発展。とても地味な見栄えですがね。
手札3枚から1枚選んで場に。
「同じ建物とかが縦横に隣接したりしないように」という制限を意識しながら慎重にカードを配置。
んで、そのカードを基準に縦横ナナメをじっと見る。
するってえと、ほら、同種の建物あるでしょう。それは合計点が計上。(列ごと)
あとは、ほら、地面が同色になってる区画もあるでしょう。それはその色の区画のうち、最大の数字だけを得点に計上。(もちろん列ごと)
そして。
これら得点は重複するので、とにかく全部計算するんですよ。上手くやれば大量得点、ワーイ。
たしか数字は1から7だっけかな? 9っぽく見えるのは6です。念のため。
得点は紙に記録したまえ、とか書いてたけど
「まあチップで計算すりゃいいや」
って、これが甘かった、その一。
あ、そうそう。そういえば特殊カードもありました。
各自が「連続手番」と「なんでも得点できるミラクル彫像カード」。共に一枚使い切りを最初から持ってイゴイゴとトライする流れ。


さ、最善手を探すゲーム、デタ・・・・・。


激烈パズルゲーです。いやもう驚異的に。
それが全面的に悪いってわけじゃない、でももっとやり方あったんじゃないかなと思いましたね、あの時は。
カードを置こうとするたびにどこが得点多いかの計算。試行錯誤。一枚置いては大量得点、計算の嵐。もう、どんどこ点数が入ります。途中でチップとか足らなくなるくらいに。何度となく、「じゃあ各自手元から100点分チップを戻そうか」と言いましたよ私。
しかもそれは終盤になるほど酷く。なにせフィールドが広がりますから、いたるところで得点入りまくり。一手ごとに20-30点がポンポン入る。手を探すのに飽きた私は、途中から諦めてニュアンスでプレイする方向に転換。
とにかく1ゲームが長い。カードを置いても置いても山札が減らない。うわあ、一体いつ終わるんだ、いつ火山が爆発してくれるんだ!と苦痛に呻きながらの鬼プレイ続行。いつものごとく手を挙げようとも思ったのですが、あと少しで終わるという自分の偽判断に負けました。こんなに辛かったのは久しぶりです。
なんかね、得点がいつでも山盛りなのでアリガタミがない。チャンバラみたいに斬った斬られたしてるうちに、いつしかただの作業に成り果てるゲーム性。盛り上がるとかそんなのじゃなくて、淡々とパズルの解を探すキツさったらないです。つか、もっとノリノリのパズルゲーとかありますって。コレやらなくても。




つか、最大の問題は視認性。
折角ですから、最終局面などを見ながら。


目がチカチカする!


どうですこのサイズ、そして視認性の悪さ。
見ててあまり気持ちの良いものではないです。ちょっとクラクラしませんか。きっとポンペイでの苦しさを疑似体験させようという深いアレがあったりするかもしないかも。そういう仕掛け&罠。
本当にねえ、細かい確認やら計算を要求してくるのに、この見難さはどうなんでしょうか。っていうか暗色がマズイ。全てが同化して見えるんですよ。そこに区画の「変にビビッドな色遣い」が映えてチカチカして見えます。あげく建物のカタチも似たようなのが多くて識別性に欠けるしでもう最悪。
これを終始眺めながら、模索、計算、している自分を想像してみてください。
そりゃ、ニュアンスでプレイしたくなりますって。この有りえないプレイアビリティの低さは、私の全てのやる気をもぎ取っていきましたね。
箱絵の撮影を忘れていたので、さきほどこうして手に取ってみたわけですが、あの時の辛くキツく悔しかった記憶が甦って、思わず箱を投げ捨ててしまいました。もう無理です。


たしかに。
こうしたガチなパズルを楽しめる方もいらっしゃるのでしょう。Geekでの評価もそう悪くないみたいですしね。が、楽しめるかどうかを試すのはあまりに危険。引くも勇気です。ちょっとした気の迷いが大きな惨劇に繋がることをしっかり記憶しておいてください。


ということで地雷(大)。
ナリは小さいですが、破壊力はヴェスヴィオ山そのもの。(上手いこと言った)
ちなみに今回、まだかまだか出ない出ないと喚いていた火山の噴火カードですが、なんと山札の一番下にありましたよ。ゲンナリ