謎のフランス祭りの話。

街をウロウロしていたら出くわした謎の人波。
なんだろなと思って行ってみたら、何かガヤガヤやってましてね。建物を囲む塀、広くはない入り口から次々と出入りする沢山の人たち。チラシを配るスタッフ的な人もチラホラと。中の様子は入り口の外からだとあんまり見えなくて、結局なんだろねこれって感じ。
塀には垂れ幕が架かっていて、この人ごみの理由を示してるようなんですが、なにせフランス語オンリーの記述なのでよくわからず。
これ、勝手に中に入っていいのかな?と入り口付近で佇んでいると、スーっと近寄ってきたチラシ配ってる黒人。「うわ、やっぱりお金取るのかよう」とガックリきたら、開口一番、
「あー・・・・、無料だ!」
と日本語で断言。スゲー。今知りたいことを直球で教えてくれたこの人偉大。口調は「はっきり話す古畑任三郎」みたいでしたが。
せっかくなので何の祭りかを聞いてみたら、チラシを指差しながら
「あー・・・・読むの祭りだ!」
とのこと。わけがわかりません。
まあタダなら何でもいいやと中へ。


入ってみると広々とした中庭らしき空間。そこでは、細身の剣を持った人たちがフォーメーションを組んで、なんというか独特の「型」を披露してました。次々と立ち位置を変えながらのことなので、多人数での演舞みたいな感じ。


隊列で演舞
円陣に展開!


でも写真で見るとあんまり格好よくないですね、これ。お遊戯みたいで。
現場で見てるともっとイケてたんですが。
きっと写真がマズイんでしょうね。まったくもって申し訳ない。



って、あれ?? この人だけなにかおかしい気が・・・・・





え?
まさか?
出たー!
「棒」を持って参加してる人出たーー!!


剣じゃなくて棒ってどうなんですかね。もうね、これはもはやイジメですよ。由々しき事態。
一体、どういう経緯があったんでしょうか。やっぱり本番直前に剣を隠されたりしちゃったんですかね。「あいつ、いつも仕切ってウゼーYo!」「じゃ、あいつの剣とか隠す?」「お、そりゃ名案だNa!」みたいな。それとも実は自主的に棒を持ちたがる「剣など無用、我は棒にて敵を薙ぐ!」とかいう達人だったりするんでしょうか。
とはいえ、現場では明らかに浮いていて、ちょっとかわいそうだったことに触れておかねばなりますまい。こんな不憫な彼のためにも。


ちなみに下は演舞参加者の一人。「黒ドレス&剣」という組み合わせがあまりにも熱かったので激写。格好よすぎですね。イカス。


黒ドレスの麗人


で。
敷地内にいくつかある建物の中は全て展示物。古地図とかね、道具の類だったりね。まあ肝心の画像はないのでそのへんは想像で補う方向。フランスな人々は愛国心旺盛なので楽しそうでしたが、他国人の私からすればたいしてオモシロくなかったです。わりかし。
そんな展示な諸々に英語表記があったので判明したんですが、どうやらフランス革命(前後)当時の地理とか文化とかを学んでみないか!みたいなノリの展示&体験なお祭りのようでした。中はモノ、外はヒトって感じで。
まあ要するに太秦映画村ですよ。っていうと、俄然萎えますな。
それはともかく。
敷地内をフラフラしてると時代が思い切り戻ったような感覚。道々に露店商的に店が出てたりもして。もちろん展示なので実際に買ったりはできないんですけども。でも思わず見入ってしまいます。さらには、時折、カゴ売りやら毛皮売りやらの行商人が道を行き交ったりもして、もう雰囲気満点。


露店のある風景
本作ってます
カバン作ってます
パンと酒売ってます


「当時はこうだったのか」という感慨もあるにはあるんですが、じつのところ「ベルセルク」の最新刊を読んだばかりなので、どちらかというと気持ちはそっちに流れますね。おー、なんかそれっぽいぞー、みたいな感じで。


奥に進んでいくと、また広場。
二人の男が対峙して儀礼的な仕草。で、静かに剣を構えると、なんと決闘が始まりました。スゲー。とはいえ、必死ってことでもなくて、剣をキンキンいわして真剣に闘っていたかと思うと、コメディかというようなオトボケなやりとりも。セリフはないんですが、身振り手振りを使って魅せる、ちょっとした芝居仕立てになっていて結構オモシロででした。流れに強弱が付いていて、よく考えられてるなーって殺陣。
決闘開始!


ほほう、とかいいながら見ていると、わきから小さな子供がプラプラと歩いてきまして。
危ないなー、大丈夫かなー、と思ってたら少し離れたところにちょこんと座って二人の決闘をじっと見てるんですよね。それがまた、なんか妙に絵になってて実に良かった。しかもやたらかわいいですしね、この子。


決闘を眺める女の子の図
女の子をアップ


ちなみにまわりを見やると動物が放し飼い。ヤギとかもその辺をウロウロしてました。ブタはさすがに木の柵の中でしたけども。場所が場所だけに、決闘すら平和な感じ。いやはや、街中なのに本当スゴイ空間です。


ガチョウがウロウロ



ひとしきり敷地内を見回って満足。会場をあとにすることにしました。
今来た道を逆に辿って入り口に戻ると、またさっきの黒人が。
「楽しかったか」ですと。ええ、そりゃもう。楽しかったですとも。
で、ちょっと離れてから、「あ、この人の写真撮っとこう」と思ってデジカメ構えたら、すかさず「どうだ!」とばかりにこの決めポーズですよ。


フレッドペリー降臨
ドーン!!

しかもこの姿勢のままズンズンと近寄ってきて、何を思ったか自己紹介が始まりました。もちろん口調は「はっきり話す古畑任三郎」。以下、彼の言葉をありのままに。
「俺の名前はフレッドペリー
「ハハハ、冗談ではない」
フレッドペリー、知ってるか?」
「いつも同じブランドを着ているからだ」
「そう呼ばれている」
そう言いながら懐から取り出して見せてくれたカルトオランジュ(定期券みたいなの)にもフレッドペリーって書いてました。
近づいたら分かったんですが、さっきのあのポーズにも意味があって、Tシャツの胸部分についているブランドマークを指差してたんですよねえ。要するにそういう名前のブランド(参考リンク)があって、それを通り名みたいに使ってるってことですよ。
いやいや、それを私に主張されてもね。
でも良い人には違いなかったので、「オケー、フレッドペリー。ナイス! グッジョブ!」とかテキトーに相づち打っておきました。
そんな感じ。