コンビット(Combit)

”「コンビット(Combit)」”

場に並んだカードを交互に売り買いして、差益でより多くの儲けを出したほうが勝ち、という至極単純な二人用買い物ゲー。しかしその悩ましさは並々ならぬものが。「むぎぎ」とくるオモシロ。
場には数色のカードが5列に、折り重なるように並んでます。数字だけは見えてます。書かれた数字は色ごとに同じ構成。列への並び順は完全にランダム、でも全てがオープン。どの列の何番目にどの色のどの数字があるか、全てが明らか。


手番にすることはカードを買うか売るかの強制2択。
買うなら、いずれかの列の一番下にあるカードを選んで購入。価格はカードの数字。
売るなら、買い集めたカードのうち、同色を2枚1組で売却(捨てる)。価格はカードに書かれた数字を掛け合わせたもの。2と5なら、10で売却ってな感じ。
これをカードの列が残り2列になるまで続けていくと。意図的に買い進めれば終了時期が早まりますし、逆に遅くする事も。まあ、プレイヤー同士の思惑次第。
ゲーム終了時に、終了処理として各自手元から1組だけカードを売って、残ったカードは全て紙くず、無価値に。
お金のやりとりは全て「対銀行」。最後に両者が所持金を明らかにして、どっちが多く儲けたかで勝ち負け。


とまあルールはこれだけ。完全情報公開型です。「うわ、キツキツ」と思われたかもしれませんが、敬遠するほどではないというのが正直なところ。わずかな所持金の範疇でたかだか20〜30枚のカードを買って売ってと繰り返すだけですし、なによりそんなに選択肢が多くないので(後述)、1ゲーム20分程度のもの。結構気楽。で、オモシロ。
もうね、思うようにいかないったらないんですよ、このゲーム。とにかく他人にトスをあげないように、自分だけが得するようにと、二人ともがアタマを捻るわけですから、すぐに「この列は相互共に危険」→「買い進められない列」みたいなのが出来て一部膠着。で選べる列が減って・・・・とゲームが加速していく感じ。もちろんそのうちに「肉を切らせて骨を断つ」場面もでてきますが、そんなに差益に爆発力があるわけではないので、基本的には地道な積み重ねがものを言います。プレイヤーは、ずっと「むぎぎ」って言ってます。そういう意味ではすごくマゾヒストなゲームですね。
システムとしては単純そのものなんですが、手番行動の「2択」というのがまたいい感じのジレンマを生んでまして。
例えば。カードを買い進める順番はプレイヤー交互ですから、「この順番で買っていくとどうしてもあれを買えない」という局面が出てきます。そうなったときに手番順を変える意味合いで「売却」が活きてくるんですね。逆を言えば、「ソレを買わせないために嫌々売却」ということもありえます。
この「手番のパス」という選択肢がないというのが最大のキモ。
借金制度もないので、所持金が足りなければ必ず売却を選択しなければなりません。目の前に垂涎のカードが出てきてもお金がなければ購入不可。無計画に買うとすぐに資金が尽きる程度しかお金がないので、このあたりのやりくりがとても重要でオモシロ。相手の所持金を計りながら、守りに入ったり攻めに転じたりする渋い駆け引きが楽しいです。
売りたくないけど売る。買いたくないけど買う。「手番順」と「所持金」と「手持ちカード」という3つの縛りが終始プレイヤーを悩ませます。直接的に相手を叩きあうような内容でもないので、相手の所作に腹を立てるというよりも、「うわ、小癪なマネを」とか「ぬう、いやらしいヤツめ」とか、相手の上手さを評価しつつも罵りあう感じ。しかもお互いさま。潰しあいというほどキツくはない、アタリの柔らかさが遊びやすいです。
とても地味なので手を伸ばしたくならないかもしれませんが、食わず嫌いをするにはあまりにも勿体ないオモシロなので、機会があれば是非に。