コミッサーX(Kommissar X)

”「コミッサーX(Kommissar X)」”

連想記憶な凶悪メモリーゲー。
逃走する犯人の痕跡を辿って、ブツの取引現場を押さえろ!というのが概略。
犯人の逃走経路を確保するのもプレイヤーなら、その犯人を追いかけるのもプレイヤー。しかも全員で一斉に取り組みます。よく考えてみれば変な状況というか、妙な感じですね。
カードは、逃走のキーとなるカードと通常の逃走カードに分かれます。逃走手段は3種類。ヘリ(空)、モーターボート(海)、そしてランボルギーニ(陸)。ランボルギーニとはクルマの1メーカーのことですが、これだけなぜか曖昧さがなく、車種が特定されています。きっとデザイナーのコダワリなのでしょう。逃げるならランボルギーニ、みたいな。
通常カードにはそれぞれの乗り物が
「右折」「直進」「左折」
のいずれかに逃げたことが記されています。・・・・察しの言い方はもう気付かれたはずです。しかし、まだこれだけではすみません。
逃走のキーカードには、「ヘリからボートへ」やら「ボートからランボルギーニへ」という乗り換えカードと、それぞれの乗り物で犯人が取引現場に向かったことを示す「トランク受け取り」カードというのに分かれています。
プレイヤーはこれらのキーカードをランダムに規定枚数だけ受け取り、さらに通常カードを受け取ってゲーム開始。ちなみにゲーム難易度の調整も可能。通常カードの枚数の増減で処理します。
まずは犯人が逃走経路を確保するフェイズ。プレイヤー全員で経路を確定していきます。時計回り進行。手番には共通の場にカードプレイ。既に出されているカードと同じ乗り物を出さないといけません。マストフォローです。っていうか、ウノみたいな感じ。で、スート〈乗り物)を変更するのが乗り換えカード。これらを組み合わせて「ボートは右へ行った・・・・」「ボートは直進した・・・・」「ボートからランボルギーニへ乗り換えた・・・・」とか宣言しながら次々とカードをプレイ。そこで時折混ぜるのが、取引現場カード。現場についてもフォローに従いながら、「ランボルギーニでトランクを受け取った・・・・・」などと決めることができます。
で、カードを出していくうちに全員がどうにも出せなくなったら、逃走経路フェイズ終わり。次はいよいよ犯人追跡フェイズです。
今までプレイしていったカードをまとめてバッサリ裏返すと、一番最初にプレイしたカードが裏向きとなり、一番上に来るはずです。
はい、追跡開始。
時計回りに手番を移しつつ、これまた全員参加で。一番上のカード内容を宣言した後、実際にめくって真実を確かめる。「ヘリは直進した!」「ブー、左折でしたー」みたいな。これをドンドン続けます。
ただ、これでは過酷もいいとこ、キツキツ極まりないので、救済となる仕掛けもあります。なんとカードの裏側には、乗り物の種類と3択のガイドが記されているのです。
例えば。「ランボルギーニが直進した」というカードの裏側には、ランボルギーニのイラストと、直進・左折・ヘリに乗り換え、という3択のインデックスが入っています。
なので、超完全に記憶ということでもなく、漠然と流れさえ覚えていれば3択ガイドが助けとなります。それゆえのマストフォロー。納得ですよ。全くわからなければ、天の声に耳をすませて選んでも可、という親切設計。
で、このフェイズはいつまで続くかというと。
カードの宣言を間違うごとに、見失ポイント、通称ションボリポイントが加算されます。それを4点貯めてしまうと脱落。
逆に得点はといいますと。取引現場であるところの「トランクカードでの受け取り」を見事に宣言することができたら、「現場を取り押さえた」として1点。これを4点貯めたら勝ち。


もう、とにかくスゴイゲーム。かなりの厳しさに呆然とします。正直なところ、親切設計なんてあまり足しにはなりません。何につけても記憶。ひたすらに記憶。私の衰えきった脳に対して、強烈な仕事量を要求してくれます。
なのになぜか遊ぼうと思ってしまうところが不思議。いえ、全く勝てる気はしないんですけども。なにせ超忘却力の持ち主ですから。これはですね、全員でションボリすることに意義があるのではないかと思うわけですよ。うわあ、とかその厳しさに脅えながら、自分の手番が回ってくるのを待って、宣言をしてはションボリすると。
しかし。ゲーム中には何度か、こう、どこからともなくヒラメキがスーっと降りてくる瞬間があるんですよね。「あー、ここでヘリは右折するね」(めくって)「ほら」みたいな。連想記憶だからこそ甦るこうしたヒラメキが、猛烈に嬉しかったりするわけです。・・・・・レベル低い喜びですかね、これ。
ゲーム的な要領だけ言えば、トランクの受け取り前後の流れを記憶することがカギ。意識しておけば、その獲得チャンスが巡ってきたときに確実に得点できます。ションボリポイントは4点あるのですから、一度や二度の間違いなんて気にしてはいけません。誤認逮捕、おおいに結構。ドーンと胸張ってテキトー言ってればいいんです。



まあ、楽しみ方が変わってますけどね。そんなのもあるのだな、ということで。