ルミ(Rumis)

”「ルミ(Rumis)」”

積み上がるオモシロ。多人数対応の立体建築型アブストラクト。
ちなみに、これ、噂のヒッポダイス過去入賞作です。今調べたら2001の2位でした。まあ、それだけですが。
さて。詳しい話。
4色に塗り分けられた変な形のブロック。これは各プレイヤーに属します。それぞれが正方形のキューブをいくつか繋げて整形されてまして。テトリスを思わせるようなカタチもあれば、グイっとヒネリが入ったカタチ。最低2個、最大5個の塊。全員、色は違っても受け取るカタチと数は同じです。
で、4枚のボード。それぞれ異なる面積の敷地が描かれています。また、ところどころに小さく数字。これは建築時の高さ制限を表します。


で、何を目的にするかといいますと。
手番には自分のブロックを制限に従いボードに配置。全員がどうにも置けなくなったら、上から見て、一番数多く自分の色が見えてる人が勝ち。ってな感じ。
基本の配置制限としては、配置するブロックが「ボード面に触れている」か「既配置の自分のブロックに少しでも触れている」ことが条件。スタート時だけちょっと違いますが、まあそれが基本。
あとは高さ制限。1ゲームでは4枚のボードのうち1枚だけを使うのですが、そのボードにはそれぞれ特徴が持たされています。それが、敷地のカタチと高さ制限の違い。
全員分のブロックを敷地内に高さ制限を満たしてキッチリ配置すると、出来上がるカタチが異なり、それにテーマを持たせています。「ピラミッド」「壁」「塔」「階段」というような。ちなみに階段ってのがコレで、ピラミッドがコレ。キレイに色分けされてますが、対人ゲームではこうはいかないです。あくまで撮影。
高さ制限は、この完成予定像を基に指定されており、それを少しでもハミ出すとダメ、というもの。
あとはこれらを踏まえて、ひたすらに積む。これが、このゲームの全貌です。
と終わっても仕方ないので、さらに詳しい話。


配置の基本制限がとても上手い設定です。ボード面か自分の色のどちらかに接するという制限はわかりやすくて、しかも効果的に機能しています。これがなければ、ここまでのオモシロには至らなかったと思います。
厳しさ具合や、より機能しているという観点で見れば、敷地が小さく、高さ設定高めのシナリオボード「塔」や「階段」なんかでそれはより顕著に。基本制限の巧妙さを存分に堪能できるキツキツぶりで、とてもスバラシイです。
例えば「塔」。狭い敷地に上へ上へとブロックを積み上げるボードなのですが、とにかく狭いので、ボード面はすぐになくなります。こうなると命綱になるのは、既配置の自分のブロックだけですから、少しでも触れる可能性を増やさなければなりません。もちろんそれは他人も同じですから、とても窮屈でキツキツなせめぎあいになります。
如何に相手を封じて、自分のブロックを露出させるか。この思考はある意味、その他の「平面」で「複雑な構造」のボードゲームに似た感覚がありオモシロ。それでいて、立体ならではの攻防があり一筋縄ではいきません。たった一面見えている自分の色を活かして起死回生の配置、なんてのも。


次に高さ制限について。これは言い換えればすなわち、それ以上は上方向にに誰も重ねる事ができない「安全な高さ」、ということですから、それを意識して配置する事はとても有益なことです。ゲーム中は要所要所で、この高さ制限の限界を利用して得点を確定したり、逆に制限に悩まされたりすることになります。
高さ制限がより活躍するのは「壁」や「ピラミッド」など完成予定像が比較的低めのボード。
例えば「壁」。二人プレイともなると、高さ制限が2段と極端に低いので、1段で置いてしまったブロックは9割がた相手へのトスになります。2段目への配置=得点確定ですから、かなりのシビアさです。ベターっと広がる敷地に、いかに2段目を確保していくか、が焦点のシナリオボードになります。もしくは一段目であっても、他人がおけなければいいので、変なカタチの空白地を残してみたりして。嫌がらせってヤツですね。人数が変わってもマップがあまり広くなく、高さもさほど変化ないので、ピッチリ埋まるように建ちます。
ちなみにシナリオ「階段」がこれら全ての制限を複合させたような感じの作り。低層部分の高さ制限ギリギリの攻防にはじまり、高層部分に向かうにつれて命綱たる自分のブロックを露出させる攻防に移行していく、ボードの妙が楽しめます。


あとは、ブロックの使い方などでの攻防の話をば。
徐々に構築していくゲームなので、どうしても確実な得点確定を優先しがち。置けるように、置けるようにと進めれば、手元に残るのはどうしても使い勝手の悪いカタチのブロックばかり。で、結局手詰まりになって誰もが置けずに終わってしまう。
だったら、使い勝手の良いブロックを残せばいいという話。最後にポンとステキ配置ができるのが、最良ですからね。下手すれば最後の最後に他人の礎になりかねないですが、上手い残し方が勝敗をわけることもしばしば。全部が全部、後に残せってわけでもないですが、こうした「得点の焦点」をどこに定めるかっていう差で同じブロック構成でも打ち筋が違ってくるってのがまたオモシロです。
実際、それを何度か試せるくらいに1ゲームが短時間なのも嬉しい。気分を変えながら、今日はボード3枚勝負で、なんてのもアリで、とてもイケてます。


とまあ、グダグダと小難しい話をしましたが、ゲーム中は結構自分の欲望の赴くままって感じなので、難しくないです。もちろん少なからず戦略的な意識や思考はしますが、あまりカツカツに遊んでしまうと、長所でもあるこの気軽さを損なう気がしますしね。サックサックとブロックが積みあがって、次第に完成へと向かう様が楽しいわけですし。
とにかくこのゲーム、ルールもスッキリと整備されていますし、直感的にわかりやすい空間認識系建築モノとしてかなりオススメできます。ボードごとに変化がありますし、4枚それぞれで勝負の焦点が異なるので、多様性があって飽きがきにくいです。スバラシイ。多人数にも対応してますしね。
ただ、個人的には2人が好み。3、4人でももちろんオモシロなのですけどね。なぜかといいますと。ボードにもよりますが、多人数で遊ぶと手番開始時に有利不利が発生する可能性があるためです。2人で遊ぶとそれが相殺されるので、気にする必要がなく気楽。
ちなみに少ない人数で遊ぶ際、ルール的には高さ制限を、一回り、ないし二回り小さくすることで解決しています。ボードの完成予定像は4人フル参加を想定していますからね。しかし、ゲーム終了時の積みあがり方がこじんまりとして達成感に欠けるので、バリアントとして推奨されている「1人2色担当で高さそのまま」がオススメです。交互に担当各色を積んでいくというものですが。ただ、順番がごっちゃになりやすいので、色マーカーを使ったりするとわかりやすくていい感じ。


カチャカチャとブロックを組み上げる楽しさ。ボードを覗き込んだり、グルグルとボードを回してみたりしながら「どこかいいとこないかなー」と検討したりする立体だからこそのオモシロ。なんだか童心に帰りますねえ。積み木遊びがアリなら、きっとカツーンとハマリますよ。かなり高評価のステキゲー。
ちなみにソリティアで遊んでもかなりイケます。パズルパズルでとても楽しいです。
4人でも、自分の色の直方体早作り、なんてのもマッタリして楽しいです。
・・・・・なんだか楽しいことだらけですねえ、このゲームったら。