たまにするならこんなゲーム。−3

ここにきて新機軸。美味しくいただけます。
"「オリックス(OLIX)」"

R,Knizia作の2人用アブストラクト。spielspass社製。ちなみに同社は他にもkniziaモノを発売しています。「タブララサ」とか「トレンディ」とか。「トレンディ」は最近「クレイジーダービー」として再販されてたり。
さて。オリックス。駒は赤青の2色。各々が自分の色を決めて、ボード上へ交互に配置して、規定の「型」を作っては得点を「増加」。ええ、「増加」です。これ重要。で、得点状況が悪い側が逆転できないことを認めて投了するか(負け)、いずれかのカタチについてスペシャルビックサイズを作るか(勝ち)、するとゲーム終了。
で、規定の「型」というのは。ゲームタイトルの「OLIX」のことなんですね、実は。「O」というのは「囲み型」、「L」というのは「L字のカギ型」、「I」が「直線型」、「X」は「ナナメ直線」を意味します。自分の駒が型ごとの規定数を満たすと、その型についての得点が増加。型は種類ごとに得点表示が分かれていて、どのカタチ(4種類)の、どのくらいのサイズ(4ランク)を既に作ったかという履歴が一目瞭然になってます。ちなみに別々の型を1手で同時成立させることも可能です。
勝敗基準はまず「カタチを何種類作っているか(もちろん最大4種類)」。それが同じ場合は、「どちらがより大きなカタチを作ったか(ランクの比較)」で勝敗を決定します。4種類のうち一番大きなランクを比較して、タイなら、次、またタイなら、次、といった感じ。
型にはそれぞれ4ランクあって、満たすべき規定数もそれぞれ異なります。型の最小構成数(「O」だったら4個とか)がランクの最下位にあって、上位になるほど必要な規定数も増えます。新たに規定数に達するごとに得点表示の駒を上位ランクに進めて得点「増加」すると。また、既に作った「型&サイズ」をちまちま作ったところで何の意味もないようになっていて、より大きく育ててガツンと攻めないとランクは上がりません。型ごとにハイスコアを更新していくという感じですね。
あ、そうそう、勝利条件のもうひとつ「スペシャルビックな・・・・」ですが、これはいずれかの型で最上位ランクの規定数すら超越したサイズを作る、ということです。が、これはよほどボンヤリしない限り、達成されることは少ないと思われます。
しかし、やることは簡単なのに、文章にしようとすると難しいですね、これ。
さてさて、所感ですが。やっぱりイゴイゴしてます。1手1手はたしかに重要でキツキツですが、かといって息苦しいくらいかといえばそうでもない感じ。わりかしですが。
それというのも、2点、5点と点数を取り合ってその差を積み重ねるようなシステムではなく、「大きな型をつくる」という視覚的にわかりやすい目的を勝利条件にしていることが、多分に気軽い遊びやすさを生んでいるのではないかと。小さな型をいくら作っても点数が累積加点されることもなく、ランクが上がっていったりもしないので、少々の見逃しがあってもまだ挽回の余地があります。なにより相手が大きな「O」やら「I」やらの型を育てようとすると、今そこにある危機がわかりやすく「見える」のでかなり気が楽です。とはいえ、ボンヤリと好手を見逃すと逆転が難しくなるくらいにはシビアなので、ヌルいゲームでもないですし。
また、4種の型のどれもが重要であり、得点としての優劣がない点も良く出来てると思います。前述のとおり、勝敗の判定時には成立した型の数をまず比較する為、ここでの種類が少ないと、いくらそれぞれのランクが相手を上回っていても負けます。すると自然、4種の型の成立を目指すことになるので、小さくまとめることも必要だったり。するってえと、得点差がつき難くなると。大きいやら小さいやらのジレンマですね。どちらを優先するかで攻め方の差はでますから、わりに攻防の幅も広いです。
あと、型の種類が4種類あるおかげで、程度に差こそあれ、俗にいう「リーチ」の状態がゲーム中に何度となく発生します。これにより「攻めている」「守っている」という充実感があるのも、下手の横好きな私としては楽しい限り。攻防の変わり目がはっきり実感できるというのはいいものです。「押されている・・・・いや、こっちがちょっと有利か・・・しかし大局をみるとあちらが・・・いやいや」ということも少なく、ギャラリーにもわかりやすい=プレイヤーならもっとわかりやすい。
考えてみるとこのゲーム、アブストラクトでありながら、もっと一般的なボードゲーム(?)寄りのプレイ感を持っているように思います。遊んでみると、すごくとっつき易いですし。見た目はともかく、実は非常に間口の広いゲームなのではないでしょうか。・・・・なんだか、全体的にベタ褒めっぽい感じになりましたね。しかしその価値もあるのでは。なんて。
期待しすぎ禁止。