「キングアーサー(King Arthur - Das Kartenspiel)」

”「キングアーサー(King Arthur - Das Kartenspiel)」”

いろんな敵を倒して、幾多の冒険をするというクニツィア作のカドゲ。非常に「らしい」つくりしてます。
簡単にいうと。
手札として与えられた3色の騎士カード+ワイルドカードを使って、
4つの属性に分かれた敵カードを倒して獲得し、
それらを消費して、より高得点な冒険カードを獲得するぞ、
というのが基本構造。もちろん点数多い人が勝ち。
基本ルールと、より戦略的かつ複雑な構造の上級ルールも存在しますが、これは一見して後付けした雰囲気がありありと見えるので、基本だけで充分な気はします。まあ、遊んでないのでもしかするとそんなことないのかもしれません。クニツィア先生すみません。
と詫びたところで詳しい話。
得点源としては、敵カードと冒険カード。
敵カードは、それに描かれた額面(強さ)と同数の騎士を消費することで、獲得することが出来ます。ん?ちょっと誤解を生みそうですね。正確にはカード枚数=騎士数ではないです。騎士カードには1か2のカードがあるので(2はかなりレア)、5の強さの敵を倒すためには最低で3枚(構成は1・2・2)必要ということになります。
ちなみに、複数枚のカードを使用する際は、全て同色に揃える必要があります。同色縛りってやつですな。
敵カードに描かれた強さ=勝利点なので、同色縛りでその場では出せる出せないなどの制限はありますが、いずれは出せるものですし、実質、騎士1人=1勝利点と考えるべきでしょう。
で。
問題の(そして核となる)冒険カードですが、「黄色の敵で強さ合計4以上」とか「なんでもいいから強さ合計12」とか「強さ問わず各色の敵1枚ずつ」とか「色問わず、強さ3と4のカード」とか色々な条件が描かれています。
この条件を満たす敵カードを消費して、冒険カ―ドを「買う」わけですね。
もちろん手間暇かけた分、冒険カードは得点効率が非常に良いです。最低でも、敵カードの額面に+3、最大で+8の価値の上昇が見込めます。
なのでゲームの主眼は、騎士カードに始まって、より高効率な上位カードへシフトしていくこと、ということになります。



具体的にはどういうことになるかといいますと。
場には敵カードが制限に従って、並んでいます。これらは誰かが敵カードの補充ってのをするまで、減る一方です。このあたり駆け引きアリ。選択肢を増やす増やさない、って話。「ハンザ」みたいな感じ。
冒険カードは全て公開。どれでも条件さえ満たせば好きなときに取れます。これまた駆け引き。
手番に出来ることは次の四つ。
敵カードの補充か、
1枚敵カードを倒す(獲得する)か、
1枚冒険カードへの変換(購入)、
1枚手札の補充。
これ4つ全部できます。どれかだけ、なんてことはいいません。しかし、ここでも駆け引き。敵カードを倒したり、冒険カードへ変換しなければ、手札を2枚補充できるのです。
この手札2枚補充は非常に重要です。手札が少なければ、複数枚カードを出す際に、同色の制限を満たすことすらままなりませんからね。可能性を増やす、チャンスを増やすということから考えても、隙をみては何も行動せず2枚補充を選択する必要があります。
この「いつ1回休みをするか」が、このゲームの第一のポイントです。
第二は。さっきから駆け引き、駆け引きと言っていた、「敵カードと冒険カード」をいつ獲得するか。ちなみに重要度は冒険>敵ですかねえ。ここでは冒険カードにだけ絞って説明します。
敵カードを集めて、冒険カードを購入するタイミングは任意です。集まったら即購入の義務があるというわけではないので、貯めておくこともできます。敵カードが沢山あれば、当初の狙いを阻まれても融通が利きますし、上手くいけばより上位の(得点効率の良い)冒険カードへ狙い目変更、なんてことだって出来ますから。
全ての購入のキッカケは他の追随が有り得るか否か。これです。邪魔される前に買う。ヤラレル前にヤレ!の精神。他人に奪われさえしなければ、いつだっていいんです。究極的には。なんだか根性汚い話。
他人が獲得した敵カードは公開されているので、大体の狙いはわかります。しかし、特に序盤から中盤にかけては、冒険カードが複数あるので、どれが取られてなにが残るかは、相手の出方次第になります。
敵カードは手番に1枚ずつしか獲得できませんから、満たすべき条件の最終形を見据えて取り進めなければいけません。途中、邪魔されることによって次第に減る選択肢、もちろん残るのはより得点効率が低いものばかりです。
このあたりの駆け引きがオモシロ。かなりオモシロ。
ふと追われていることに気づいて、ジリジリとした切迫感。「あー取られるかなーヤバイかなー」なんて思いながら、でもそこからさらに欲張ってみたりしたいんですよ、私は。さらに上位カード狙いたいし、手札2枚補充だってしたいんです。
追いながらも、「相手はきっとこっち狙いだ、まだ間に合うまだ大丈夫」なんて考えながら夢は大きく持ちたいですよ。ギリギリまで粘りたいんです。
とはいいながらも、常に心の片隅に保険としての代替案を。これ最重要。



とにかく、このゲームは「どこで仕掛けるか」のゲームです。冒険カードは沢山あり、それらの条件は微妙に絡み合いながら関係しあっている「地味に上手い」構成です。さすがクニツィア。こういう地味な仕事に熟練の技を感じます。匠です。
話逸れました。
その均衡を誰が破るか。誰かが選択肢の一つを獲得することで、途端に可能性は狭まります。時に方向転換を余儀なくされるくらいに。もう、みるみるうちに未来が暗くなりますからね、で、つるつるっと収束していってゲーム終了、みたいな。
どちらかといえば華やかさには欠けます。渋いオモシロ。しかし通好みというわけでもない感じがイカス。
手順がシンプルで、カードの情報も少なく判別しやすい。各種情報を考慮しはじめれば、わりにギリギリとしたプレイ感にもなりますが、要するに「他人よりも良いものを早く買う。そのための準備を手早くする」と考えれば全容が掴みやすく、目的がとても明確になってわかりやすいので、ゲーマーな方でなくてもスンナリ楽しめる良いゲームだと思います。
もちろん、この手のゲームを遊んだ経験があるほうが一日の長があるというか、有利なのは間違いないですが、それでも比較的いい按配に一進一退の攻防を繰り広げることが可能でしょう。極端な差がつきにくいので、惨敗してゲンナリ→ゲーム嫌い→トラウマに、ということがないです。これまた極端な話ですが。



スタンダードで悪く言えばひねりのないゲームなのかもしれませんが、それだけに説明しやすく遊びやすい。諸手を挙げて賞賛とまではいきませんが、誰でも気軽にクニツィアらしいジレンマを楽しめるオモシロゲーだと思います。
・・・・それにしても上級ルール、やはり遊んでみるべきでしょうかねえ。
好印象を保つべく、基本ルールで遊び続けたほうがいいのかも、とか思ってますが。むぎぎ。

あきおさん

あれが1800円で買えたんですか。私はそういったものの相場には疎いので、もっと大変な額面になるものだと思っていましたよ。あきおさんはラッキーだったのでしょう、きっと。
にしても思い出収集は地味作業ですからねえ、デモノがあるかどうかの世界ですから苦労しますなあ。私も早々に「jinni」を発見できて良かったです。まあ、あれは蓋を開けてみれば、某氏のお心遣いだったわけですが。
残り3個、無事ゲットできることを陰ながら祈っとりますゆえ。