久しぶりですね、この手のジレンマは。

ディアボロ(Diaboro)”

地獄の業火に焼かれろ!


AMIGO発、シャハトの新作。地味な箱ですが新作。
私が敬愛するフェドゥッティをして
「本作は新たなるコロレットになり得るか・・・・・答えはイエスだ」
と言わしめたカドゲです。
まあフェドゥッティの表現は若干大袈裟なキライがあるので話半分に聞いておくとして。
既に結構な数の言及があったので「もういいかな?」という気もしましたが、こういう話もしておくかということで所感。
だもんで、ルールはザッと。




テーブル上はこんな感じに


場にある5色の列に手札として配られたカードを一枚ずつ置いていくだけ。近頃では珍しいワンドローワンプレイ。列の右側と左側では天国地獄の違いがあり、置かれたカードの数字合計の多少で、その色の決算がプラス点になるかマイナス点になるか変わります。列にて、右左合わせて5枚のカードが置かれたらロック。その列の色は今後出せません。
5色のうち、2色がロックしたら決算。手札として残ったカードを全員で各色ごとに確認して、最多の人だけが得点。この確認の際、各自に得点ダブルアップのチャンスが一度だけ与えられたり。活かせるかどうかはプレイヤー次第。
これをまあ、人数ラウンドとか遊んで云々とかいう感じ。




場か、手札か。
点を取る為には手札に大きい数字のカードを残しておきたい、でも列にカードをプレイしないと抱えている色がマイナスにされるかもしれない。自分の思い通りにするためには身銭を切るようなプレイが必要になる、これ本当はクニツィア製でしょ?と疑ってしまういやらしいジレンマ。
各色ごとに最多だけが得点するというシステムゆえ相乗りや共闘はありえません。得をするのはたった独り。如何に他人をダシに出来るか。他人の意図を汲んで、さらにそれを上回るプレイが出来るか。
想像してたよりもプレイ感は軽め。手札の引き運があるので、それに抗いながら打つ感じ。運の平均化もあっての人数ラウンドが適当でしょうね。
狙いがバレると速攻で列をマイナス側にロックされて、手札のうちのその色は膠着させられることに。するってえと手札上限があるので、プレイの自由度&選択肢が減ったあげく、得点源として他の色を抱えることさえ難しくなるという二重苦。
ただでさえ少なくない手札枚数なのに、ワンドローワンプレイの方式を採用していたので、最初は「?」でしたが、手札が死んでしまう可能性を考えると納得。
マイナス側に崩れだすとロックまでは一気なので、如何にマイナスの流れを察知するかも大切。とはいえ列には最大でも5枚なので、4人プレイでも「ヤバイ!」と思ったが手遅れということも多々。だもんで初期手札を見て、そこから始まるのはある種の賭けのような。ラウンドが短いのでそういう印象は強いですね。それが悪いと言ってるわけではないです念の為。むしろいい按配。
ほどほどに場に反映される自分の意志と、場全体の流れが自分に与える影響と。程よいバランスで遊びやすいです。シャハト風味は薄め。



なにか特別目新しい感じではないのですが、それだけに「馴染み」ます。抜群にオモシロでどうこうというわけではないんですが、あたかも昔から手元にあったかのように、なんとなく取り出せてなんとなく遊べますね。押し出しが強くないので息が長そうな感じです。
にしても、出涸らしだと思っていた「数字モノ」で、まだ新システム&ジレンマを生み出せるのか!という点では驚嘆。シャハトすごいです。ジレンマの伝統を消化つつも新しきを生むその手腕に脱帽。



コロレットか本作か」と聞かれれば、私は即座に「コロレット」と答えてしまうのですが、とはいうものの確かに本作は新定番になる可能性を秘めた良作だと思います。
でも滅法オモシロいかというとそうでもない。「うはー、スゲー、オモシロだったー」とは言えないんですよねえ。複雑な心境。
たしかに上手いジレンマはあるんですが、どこかチグハグな感じ。軽いプレイ感とそのジレンマにギャップがあるというか。何か物足りない。こうした印象は回数をあそぶほどに顕著になってきました。
最初は「ムーブメント起きるねこれは」とか思ってましたが無理。リプレイ希望!という気持ちに欠けます。


良作だと思う自分と、でももう遊ばなくていいやと思う自分。
これはいいジレンマになるぞ・・・・。(まさかのフェドゥッテさんオチ