足跡残しまくりのタイルゲー。

”「盗賊騎士(Raub Ritter)」”

最近Queenが力を注いでるっぽい中箱シリーズ新作。「ジェノバの商人」とか「ゴア」とか「ルイ14世」とかを作ったR.Dornのタイルゲーですよ。もちろん期待を裏切らずというかなんというか、本作もまたいつもの「足跡を残していく系システム」を採用。本当に足跡好きですね、この人。


箱ー。


箱外観


城から馬に乗って元気に走り出していく、我らが盗賊騎士たち。
こいつらが方々の村やら街やらを制圧しては略奪の限りを尽くすわけですな。(人聞きが悪い)
剣とかもう抜き身で持ってますからね。
これからどんな惨劇が。ああ、おそろしい。



一番血気盛んなヤツのアップ。



やる気十分


もう完全に悪人ヅラですからね。
こんなに生き生きしてるだなんて、ヤツには罪の意識が(以下略)。
馬も目をキラキラさせてますよ。きっと血に飢えて(以下略)。


話逸れました。


ゲームとしては、最終的に制圧してた街&村やらを得点化して多い人が勝ち。
今回は二人プレイ。結構オモシロでしたよ。あんまし期待してませんでしたが、いい意味で裏切ってくれましたね。ほどほどな軽重さ、運と戦略の比重もいい具合で楽しめます。ちなみに最大四人までプレイ可能ですが、三人くらいまでにしておいた方がいいような気はしますね。理由は後程。



タイルー。


タイルをばらり。


こういう土地タイルたくさん。
移動可能な地形は三種、平原・森・山岳。湖は移動不可で、概して他人をブロックする用途。これら土地タイルには城やら街やら村やらが描いてあるヤツもあれば、地形だけしか描いてないヤツも。地形と建物の種類の組み合わせは様々。とりあえず、価値判断要素が2つあるってことで理解。
街&村はもちろん制圧目的。で、城からは騎士が出撃するわけですが、実は城も制圧していると自他の区別なく得点入ります。



その土地タイルを裏返すとこんな風。


裏返して下準備。


AからEの文字で裏分類。これ、順番です。各自が個人山札を持つスタイルなんですがね。Eを一番下にして順に重ねていくと自分の山タイルが出来ると。ちょっとだけ面倒ですねえ。連続して遊ぶときとかは特に。でもまあオモシロの代償。仕方なし。
各自がこれだけの枚数を持っていて、基本的には全て使いきるまでゲームは続くので、人数が倍になれば単純に考えても時間は倍かかります。しかも参加者&人数にもよるでしょうが、ハマると長時間ゲーに変貌しそうなゲーム内容ですからね、注意。
下にあるチップは例の足跡用、騎士チップです。使い切り。使えば使うほど強いし、ゲームを有利に運べるんですが、あんまり調子に乗って使いすぎると終盤何もできなくなる罠。これの使用数の強弱がゲーム的なオモシロになってたり。


で。


タイルゲーでは珍しい手札制です。二枚のうち一枚を使っては補充するという流れ。ちなみに手番は最大三連続できます。でも「チャンスを次々とモノにする」というよりは、「チャンスを呼び込む為に山札を掘ってみる」って感じ。攻める為には攻めれる状況を整えることが必須。それは場だったり、手札だったりするんですけどね。だから掘る。でも掘りすぎても、相手にトスしてしまうタイルしか手元に来ねー、ってなことになるリスク。ああ、ジレンマ。
タイルの登場する順番は仔細は異なるとはいえ大筋では同じ。タイルの構成自体も全員同じなのでそういう捉え方。ちなみにタイルの流れも序盤→中盤→終盤をちゃんと意識したものになってます。ゲームにドラマ性を与えているというか。



例えばこんなゲーム序盤。


序盤例1


この画像一枚で結構な量の説明をするので、行ったりきたり準備の上で以下。
タイルは辺で接してさえいれば自由におけます。カルカソンヌ系みたいな「どこにつなげられるかな」的思考は無用ですよ。
ところで。タイルを配置できるエリアの限界というのがありまして。それが人数によって異なります。二人だと7x7。これはタイルを配置していくことによって確定するので、どこが端になるかはゲーム開始時には謎です。そんな攻防。ちなみに画像だと左右方向にはまだ1タイル分余裕あり。どちらかに置けば、その時点で7x7が確定すると。


プレイヤーが街や村タイルを置くのはあくまで布石。まあ、共有資産というか争奪対象なのであんまり置きたくないんですが、当たり前ながら置かないと自分も取れない。だもんで、いつだって渋々、様子を窺いながらソロリソロリ。でも最大三手番あるので、上手くいけば自分しか制圧できない夢ポイントを確保できることも。そりゃね。
で、城のタイルを置くといよいよ盗賊騎士が出撃。とにかく城タイルが手元に来ないと攻めることすら出来ません。そのための手札制。
画像上端にあるのが青が置いた城タイル。そこから青の騎士が下へ走ってます。ちなみに騎士はバカなので、四方いずれか、しかも直線にしか走れません。で、城から直線上にある街村を制圧していくと。
騎士は出撃の際、最大チップ5枚分の襲撃パワーを持てるんですが、地形ごとに「これだけは必ず置け!」っていう必須消費チップがありまして。無理すれば湖以外は通れますが、無理が祟るとすぐにチップが心許なくなるので良し悪し。本当に節約最重要。
画像の中心くらいで赤青が重なっているのは、青が後から来たため。最終の得点計算時、「上になってる色のプレイヤーにしか得点が入らない」ので「いつ仕掛けるか」は大切。
じゃあ奪い奪われでテンヤワンヤなゲームなのか、ってそうじゃない。もちろんそういう局面もありますが、せいぜいは「他人の制圧→奪う」くらいのもの、それをさらにオーバーテイクすることはあまりありません。(2人プレイ時)
主題は「如何に相手の侵攻を防ぐか」。
それと「最小の労力で他人の制圧地を奪って最後までキープできるか」。これです。


ということで。


守り方を知れば、攻め方も自然に理解できるってんで、その防御に関わる云々。
役に立つかはわかりませんが、画像「序盤例2」と共に以下。


序盤例2


方法は大きく3つ。組み合わせで威力倍増です。
一つ目は移動不可の湖や、甚大なチップを消費させる山岳でブロックするという方法。わかりやすい。立ち入り禁止区域を作るってこと。でも四方を囲むわけにもいかないので、不十分。とはいえ、インスタントに「ある方向からの侵攻を止めることが出来る」という点ではベンリです。タイルと手番さえあれば確実に止まりますからね。
二つ目は守りたいタイルの周りに余計なタイルを置いていくというもの。有用なタイルがほとんどなので「余計」というと若干語弊がありますが、周りを新たなタイルで囲めば囲むほど、中心部の守りたい部分への侵攻は困難になるってことですよ。
騎士の出撃には必ず新たな城タイルの設置が必要で、しかも最大でもチップ5枚。出撃する城にもチップ一枚の消費が必須ですから、あとは必須枚数が2枚の地形が並べばそれだけでもう届きません。誰からも届かないようにさえすればゲーム終了まで守りぬくことは容易。たった一枚でも上書きされればチップが無駄になりますから、こうした囲い込みは大切。
三つ目はタイルへの配置制限によるもの。タイルにチップの必須消費があるというのは既に説明しましたが、タイル一般としてチップ4枚という配置数の限界があります。これにより意図的に立ち入り禁止のタイルを作ることができるんですねえ。
しかも、実は騎士の足跡となるチップ、望むのであれば必須数以上を残していくことも出来ます。もちろんルートの封殺が目的。ただこれは案外諸刃で、前述の通りチップが足らなくなってくるので危険。だもんで、これは本当に最終的な手段。無駄を省いてポイントを押さえた使い方が求められます。



とかなんとか。
そんな防御方法を踏まえつつの終局図。
さきほどの序盤例2がゲーム終わるとこうなります。


終局!


なんとなく伝わりませんかね。伝わってほしいところ。




とまあ、こんな感じのタイルゲーなんですが。
ダラダラ書いてはいますが、実はルールもシンプルでわかりやすいです。しかもそんなにプレイ時間掛からないのもイイ。中箱だからこその「オモシロ要素だけを抽出して、その他の削げるところは削ぎまくる」という割り切りぶりがステキ。タイル系の常として長時間ゲーに化ける危険性はやはりありますが、タイルを掘ったりする運もありますしガチにはならないと思います。あー、でも地形タイルの構成のみならず、山札内タイル出現の分布まで記憶すればそりゃガチガチになりますけどね。つか、そんなことしちゃダメ。


そういえばやたらと文中で繰り返してた「駒足りない」話ですけどね、最初のプレイでもうこんなに駒が足らないのかというくらい足らなくてオモシロだったからかも。ガツガツと奪いあったり、やたらと封殺しまくったりしたらそんな結果でビックリしましたからね。2回目、3回目で節約を意識してもまだ足らない。城が手元に来たし騎士でも出陣させるか・・・とかいう軽い気持ちは不可ってことです。でも出撃させたくなるんですが。
そう考えると、捨て時攻め時の比重のかけ方一つでもまたジレンマが。展開のアヤもあるでしょうが、どの段階で騎士を多めに突っ込んでいくかでも違ってきそうですね。騎士マネジメントってヤツですか。

ってことで。
二人で遊ぶ分には良作ですよ、こりゃ。
でもそれ以上の人数では遊んだことないので謎。まあ、きっとそれなりにオモシロでしょう。ええ。
・・・・・・・・。(思考)
三人プレイが限界な脳内結論。次回は三すくみで遊んでみます。