画像でアグレッシブ。その4

今回は「侯爵(Marquis)」です。新作。だもんで、やるだけやります。(何を)
盗賊の親方など、豪華コンポーネントで有名な「ルドアート(Ludoart)」が世に送り出したカドゲですよ。
詳しくはおいおい話していくとして、とりあえずは外箱から早速。


なんてこった・・・。


まずは爵位を持つ者らしい、ゆとりに満ちたポーズ。自画を描かせた絵画とかでも定番ですよね。
どうだい私の偉大ぶりは、ってな感じなんでしょうなあ。こんちくしょう。
ともあれ、この人がタイトルにもなってる侯爵です。だからなんだって感じですか。
箱サイズは、例えて言うならば「大盛り焼きそば」くらいのサイズ。偉大さ台無しの例えですが、我ながら的確なサイズ表現かと。って、伝わりませんかね。でも伝わってほしいところ。
そんなカラーな印刷の侯爵ですが、実はこれ、紙製の帯みたいなものでスルリと取れます。


で、現れた本体はこちら。


侯爵現る。


またもや侯爵。しかも黒い。
(そんな侯爵アピールもクドイ)本体は質感もステキな木製ボックスです。
早くもルドアートの本領発揮ですよ。オドロキの豪華ぶり。
(爆発オチを連想させるコゲコゲ)侯爵はプリント仕上がり。残念ながら焼印ではありません。
にしても、こんな豪華な木箱にカドゲを納める必要があったんでしょうか。(タブー)


そんな疑問を振り払うかのように箱を開けます。


内容物・・・・。


蓋を取ると最初に目に留まるのはカード。
大盛り焼きそばのサイズを思い出していただければ分かるように、ちょっと大判のカードです。
ちなみに画像のカードは暗殺者。巷でいうところの「月に代わっておしおきよっ!」のポーズが痛々しいです。
そんな大きなイラストとゲーム中に用いられる情報が様々描かれているカード。
まあ大きさのわりに、そんなに大したことは描いてないですがね。(またもやタブー)
それよりも気になる、箱の右側に入っている謎の黒い袋。


なんですかね、これ。


やっちまった・・・・。


ゴロリと出てきた中身。
入っていたのは赤白の宝石と、ビニールでグルグルにされた謎の包み。
宝石は他のゲームでも見たことのある不揃いな感じのヤツ。
ナイアガラを思い出します。いやウボンゴでもいいんですが。
問題はこのビニール。
麻薬摘発のニュースとかで見かけた雰囲気です。
大丈夫なんでしょうか。捕まったりしませんかね。


とかなんとか言いながら開封



ジーザス!


入っていたのはゲームで使うコイン。
しかも、まさかの個包装。
「1個だけ頂こうかしら」
とか思って袋を開けても、湿っぽくならないので奥様も安心です。(宣伝)
さすがルドアート。想像を絶する豪華ぶり。
あげく、このコイン、金属製ですからね。懸ける情熱からして違います。(方向性)
もう、ズッシリ。手にドーンとくる重さ。
そりゃあ、個包装にしたくもなりますよ。輸送中にガッチャガッチャ、袋開けたらメッキがキズキズで即クレームなんてもうウンザリ。ええ、ウンザリですとも。(トラウマ)
個包装バンザイ。ルドアートバンザイ。
で。
こうして袋に入れたまま遊ぶのもオモシロだなあ、とか一瞬思いましたが、
そうした意図も他人に伝わらなければ「ただ貧乏くさい」だけなので諦めて開封
一個ずつビニールを破いてコインを取り出します。
豪華さとはウラハラの地味作業です。いやしかし「労を惜しんではその果実は少なし」といいますからね。っていうか、このコイン食べれるのか。(間違い)



開封するとこんな感じ。


また出た・・・。


なんかもう気持ち悪い。
っていうか、こんなところにも侯爵ですよ。
どれだけ侯爵をアピールしたいのかと。
張り付いたような微妙な笑顔が、また気持ち悪さを増しているというかなんというか。
そんな見事なメッキは鏡面仕上がり。さすがルドアートならではのコダワリ。(しつこい)
コイン下部が肌色なのは何かの呪いではなく、カメラを持つ手が映りこんでるだけです。
ちなみに裏面は別図案。


表裏並べたらこんな感じ。


なにかの暗号・・・。


裏には大きくQの文字ですよ。
なんですかね。
クイズのQなのか、クイックのQなのか、はたまたクオリティのQなのか。
いやわかってます。きっと、箱絵でも強調されているmarquisのQなんですって。
でもね、私はこのQをクエンティン・タランティーノのQだと信じたい。
だってその方が夢があると思いませんか。ないですか。そうですか。





ひとしきりコンポーネントで楽しんだところで、内容の話。


操り人形に似ているという話を聞いてはいたんですが、ルールを読んでみたら納得。たしかにゲームの攻防の主軸になる部分は特殊能力を駆使して云々って感じでした。でも遊んでみたら別物。アレはアレ、コレはコレですね。むしろ操り人形よりも本作のほうが好みかもしれません。


個性豊かなキャラクターが11人。これを個人山札として各自が受け取って、そこから手札4枚、手番ごとに一枚選んで使い切りで能力を発揮していくという流れ。
目的は、キャラでお金を集めて、それを宝石に換金して、その宝石が勝利点になるという二段構え。宝石一単位は必ずしも一金貨(クエンティン・タランティーノ)というわけでもなくて、キャラごとに固有の宝石換金レートを持ってます。宝石換金が得意なヤツもいれば、そうでないヤツもいると。
一概には言えませんが、お金を稼げるヤツは換金が苦手。また、特殊能力が強いヤツも換金苦手です。


カード何枚か。


キャラの一部。色々いますが、みんな悪そうってのが共通点。
右下には暗殺者が再び。なんだかんだ言っても結構気に入ってます。


ゲームの華となる特殊能力ですが、これがまた結構多彩です。それぞれの職業らしいことが出来るってのは定番の手法なんですけどね。「自分でどうこうする」っていう内容はもちろんのこと、「他プレイヤーとの絡みで成立する」能力もあったりとかするところが新しい感じ。能力を発揮する為に突然交渉が始まったりしますからね。
詳細に説明するのもアレなので、ザーっと職業だけ列挙しておくと。
暗殺者・伯爵夫人・宝石商・ゆすり・イカサマ賭博師・千里眼・神父・侯爵・スリ・強盗・検察官。
で。
このゲーム、とにかくお金がカツカツしてます。参加人数によって場に存在する金貨の量が調整されるくらいですから必ずギリギリ。しかも場になければ貰えるものも貰えない。となると、他人が金を使うのを待つか、奪うか。もちろん迷わず後者を選んでいくってのが本作の醍醐味っていうか、攻防のオモシロ。
手番にできるアクションはやたらシンプル。手札からキャラを晒す、収入をもらう、他人から金を奪う、他人に金を渡す、・・・・・宝石を買う。特殊能力の発揮されるタイミングは様々なので(それこそ手札内で発揮することも)それはそれとして。なんで「・・・・・宝石を買う」なのかは後述。
このくらいのことしか手番中にはしないので、早いときは本当に一瞬で手番が終わります。手札4枚からカード選ぶほうが時間掛かるくらい。というのも、基本手順である「お金を奪う、渡す、・・・・・宝石を買う」ってのに影響がある為です。これ結構大切。
キャラにはそれぞれ、お金奪う奪われるという関係性があります。スリは宝石商からお金を奪うし、ゆすりはそのスリからお金を奪う、とかね。場に奪える対象さえいれば、自分の収入をもらったあと、さらにその相手から金を奪えるんですよね。
場に奪える対象? ええ、各自最後に使用したキャラは晒しっぱなしなので、そういうことがありえます。なんで晒しているかってのは、先に保留していた「・・・・・宝石を買う」に通じてるんですが。
「宝石を買うタイミング」ってのがこのゲームのシステムを成立させたキモの部分です。これのおかげで、他人のお金を奪う意義があるし、特殊能力も発揮できるし、何より時計回り(時には反時計回りにも!)の手番制でカードプレイしていくスタイルを獲得できました。ちょっとしたことなんですがね。
と、ここまで書いたらもう分かる話なので、これにて終了。っていうか、引っ張ったわりにそんなに大した話でもないですし。でもまあ、遊ぶとこれのせいで何度と無く「く、くそう・・・」って思わされること必至。
そんなこんなでシステムの話も終了。



カードプレイは関係性があるから悩むっていっても、自分の手番までにある程度は手札と相談で考えることができるので、操り人形なんかで鬱だったダウンタイムの長さはないです。だいぶとマシ。最初は幾分複雑ですが、慣れればわりかしチョチョイと遊べると思います。なにせカドゲですからね、そうでなくちゃ。
マネジメントがとにかく重要。他人のレートは見えているので「買えないようにする」、自分のレートも見えているので「若干なら邪魔されても買えるようにする」。キャラの「奪う奪われる関係」はスパイラルになっているので、ドツボにハマると厳しいです。如何に自分の流れに持ってくるかが大切な感じ。
手札はカード4枚ってのもある程度の縛りと苦しさを与えてて好感。運も絡むってどうよ?って人もいるかもですが、これくらいが丁度いい。引きの楽しさがありますしね。欲しかったソレを引けなかった時、状況が芳しくないなりにどうやって修正するか、立ち回るかの作戦立てってのがオモシロ。トリックテイクで手札が悪い時みたいな思考。違うのは配りきりではないので、相手もどうなってるかわからん、ということ。そういう考え、気の回し方が楽しいというか。アレだけは持ってませんように・・・みたいな祈りスタイルでもよし、最悪の状況を考慮した慎重プランでもよし。
他人も自分もカードの出方は違うといえ、同じ使いきりデッキの良さ。キツイけどキツクナイのはこれのおかげかも。カドゲらしい手頃な手応え。


苦言。
とにかく値段の高さはアレ。非常にアレ。内容物はしれてるので、ハンスが操り人形みたいなシリーズで出せば同じく2000円くらいで済むはずなのに。本作の現地価格は、最近の新作なんかと比較すると「エラズンド」なんかと変わらない。サイズが小さい(重量軽い)のでアレよりは安いでしょうが、日本ではきっと5000円以上にはなりそうな予感。
コインが豪華なのも、箱が豪華なのも、メーカーの方針とはいえ。
カドゲなのに。ねえ?
ちなみにこのゲーム、2〜4人用なんですが、2個買うと最大8人で遊べてしまいます。
マニュアルに大きく書かれてますからね。それ。
っていうか2個買うと高いし。あげくカドゲ。しかもプレイ時間まで延びちゃってもう大変ですよ。
んー。


内容についてはわりかし遊べると思っただけに、ちょっと。
割が合わない感じの心境。
ちうことで。